液晶とプラズマだと、液晶の方が省電力だが
液晶方式とプラズマ方式を比較すると、画面を光らせる方式の差で、プラズマ方式の方が電力を消費します。蛍光灯を使って絵柄を透かせる一種のステンドグラスのような液晶方式と、小さな電球が点滅を繰り返すプラズマ方式の原理による差と考えてください。一方、初期費用が安いのはプラズマ。プラズマ方式の方が構造的に単純で量産に適していて安く作れるのです。二年前には同サイズ新製品で数万円の売価の差がありました。しかし、液晶方式の生産性向上で差が縮まっています。
日常の節電対策の第一は、液晶方式もプラズマ方式も、こまめに電源をオフにする他に明るさを絞ること。液晶テレビの場合、バックライトを絞ることが第一に挙げられます。エコモードを搭載している製品は大抵、バックライトを最小に抑える設定になっています。
カタログの年間消費電力表示はアテにならない?
テレビのカタログには、年間消費電力が記載されています。そのテレビを一日10時間見るとして、年間にいくら掛かるか計算が出来るかというと、それは難しいのです。ご承知のように、家庭の電気料金は、月間の電力使用量によって、一段~三段に分れ、それぞれ1KWごとに使用料金が設定されています。さらに、50A、 60Aという容量の契約もあります。これに基本料金他が加算されて毎月の請求が来ますから、ある一つの電気製品を取り出してそれにかかる料金だけを計算することは出来ません。
しかし製品Aと製品Bの消費電力の差から、ランニングコストの差額を算出することは出来ます。たとえば、A 社の50V型プラズマテレビの年間消費電力(省エネ法による。標準モードで一日4.5時間視聴)は425kWh/年、B社の52V型液晶テレビは 279kWh/年でした。
東京電力に問い合わせてみると、私の暮らす地域(神奈川県鎌倉市)では年間三千数百円の差になりした。ただし、お住まいの地域によって違いがありますので、詳しく知りたい時は、契約中の電力会社に電話で問い合わせてみてください。ちゃんと計算してくれます。
省電力に対する各社の工夫は?
新エコポイントが実施になり、テレビの世界で省電力、高経済性が販売上の商品価値になりつつあります。薄型テレビの主流である液晶方式の場合、一般的に以下の方法で省電力化を競い合っています。- バックライト自体の工夫。効率の高いLED光源を初め、従来より同じ電力で明るい光源を使うことで、消費電力を抑える。
- バックライトと組み合わせる拡散板やフィルターの工夫。バックライトの光の利用効率を高めて、光源の本数を減らし電力消費を抑える。
- バックライトと液晶パネルの光量の制御で電力消費を抑える。
プラズマ方式の場合、国内パネル生産はパナソニック一社ですが、画素の発光効率を改善して明るいパネル(ネオ・プラズマパネル エコ)にすることで、消費電力を抑える工夫をしています。
LEDバックライトは省電力? 録画テレビは?
液晶方式の場合、バックライトがLEDに代替しつつありますが、本当に省電力なのでしょうか。中級のグレードで同等のパネルを搭載したLEDバックライト搭載機種とCCFL搭載機種を比較すると仕様上では、事実LEDの方が30%消費電力が少ないようです。しかし、LEDバックライトのエリア駆動(映像に応じて部分部分を光らせる)を搭載した上級機種には高度なコントロールシステムが必要で専用LSIを使う分、消費電力が上乗せされます。
ハードディスクを搭載した録画テレビは、リモコンのボタンワンプッシュで視聴中の番組を録画出来るのがウリですので、ハードディスクがテレビの電源オンで起動状態になります。やはり同等のパネルを搭載したテレビ同士を比較すると、ハードディスク搭載機種の方が年間消費電力が一割程度多いようです。
しかし、その差を金額に換算すれば数百円という違いです。テレビはあくまで画質で選ぶものであって経済性はあまり決め手にはなりません。
各社が競って搭載する自動省電力機能とは?
この他に、一般的に不必要な明るさでテレビを視聴するユーザーが多いことから、室内照明の明るさをセンサーが検出して画面の明るさを自動調整したり、前から人影(視聴者)が消えたことをテレビが感知して、映像を消したりする機能も相次いで搭載されています。もっとも進展しているのがソニー・ブラビアの「インテリジェント人感センサー」で、顔認識機能でユーザーが前にいないと認識すると消画する「省エネ優先モード」、画面を暗くして離れていてもうっすら分かるようにする「標準モード」、顔と動きが長時間認識されないと消画する「視聴優先モード」の3パターンに分けるなど、ソニーらしいキメ細かさを盛り込んでいます。
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