「失火の責任に関する法律」(これを失火法と呼びます)により、ちょっとした不注意(軽過失)による失火については、賠償責任を負わなくてもよいと定められているということを前回のクローズアップで記述させていただきました。
ここでいう「重過失」には、「寝たばこの不始末」などは、例外を除いて(ホテルなどで「寝タバコ禁止」の札があるにも関わらず「寝タバコ」をして火災を起こしてしまったような場合など)含まれません。例えば、お隣からの「寝たばこの不始末」が原因の出火による類焼では、一般的には賠償の請求はできないことになっているのです。
しかし、住宅火災における発生原因を見て見ると、トップは煙草の火の不始末(21.0%)。続いてストーブの火の不始末(13.9%)、マッチ・ライター類の火の不始末(7.7%)と、いわゆるちょっとした不注意(軽過失)が出火原因の半数近くを占めています。(数字は消防庁調査による)つまり、賠償請求ができない「重過失ではない」ものが半数近くを占めているのです。そのことを考えると、自分の財産を守るためには、きちんとした火災保険に加入しておく必要があるといえるのです。
では、「加害者になった場合」はどうでしょうか?
みなさんは、「個人賠償責任保険(特約)」と言う保険の名前をどこかで聞かれたことがあると思います。この保険は、年間1,000円~2,000円程度の保険料で、家族全員の日常生活での偶発的な事故による「賠償事故を担保する保険」です。そして実は次のような形で、ほとんどの方が加入している保険なのです。
◆ クレジットカード等に自動的に付いている。
◆ 損保の「積立型傷害保険」や「傷害保険」に自動的に特約として付いている。
◆ 職場の団体保険関係で、知らずに加入している。
◆ 完全補償型の自動車保険に特約補償として付いている。
◆ 団地保険等の火災保険に特約補償として付いている。
◆ 分譲マンションの場合、マンション管理組合が契約者となる包括契約でそのマンションの住戸全体が加入している。