給付金や解約返戻金を受け取った時の経理処理
法人の経理処理は何回聞いても難しいですね |
■法人が給付金を受け取った時
例えば、被保険者である社長ががんになって、がん入院給付金やがん手術給付金を法人が受け取った場合、経理処理は下記のようになります。
仕訳例……借方 現金または預金/貸方 雑収入
法人が受け取った給付金は雑収入として処理する必要があります。そして、法人が被保険者である社長に見舞金を支払った場合の経理処理は下記のようになります。
仕訳例……借方 見舞金/貸方 現金または預金
見舞金の額は社会通念上妥当な範囲とされています。それを超える場合は、超えた部分が社長への給与とみなされます。法人が受け取った給付金をそのまま見舞金にする必要はありませんが、事前に規程などを作成しておくことがのぞましいです。ちなみに、契約者が個人の場合は、受け取った入院給付金やがん診断給付金等は非課税です。
■法人が契約者貸付をした時
加入している保険によっては、その保険を担保にお金を借りることができます。法人によっては一時的に資金が必要な時もあるでしょうから、保険契約を継続しながら一時的な資金を確保する手段として知っておくと便利です。契約者貸付をした場合の経理処理は下記の通りです。
仕訳例……借方 現金または預金/貸方 借入金
契約者貸付の借入金利は、契約している保険や加入時期によって異なりますが、3%程度とかなり低利な場合が多いです。ちなみに返済時期についてはかなり自由で、ある時払いでも大丈夫です。
■法人ががん保険を解約した時
被保険者が退職するような時は、加入しているがん保険を解約する必要があります。その時に解約返戻金があれば、契約者である法人は解約返戻金を受け取ることになります。その時の経理処理は下記のようになります。
仕訳例……借方 現金または預金/貸方 前払保険料と雑収入
前払保険料として資産計上した額を取り崩し、解約返戻金との差額は雑収入として益金(または雑損失として損金)に計上します。
被保険者が社長で自らの勇退によって解約した場合、法人が受け取った解約返戻金を社長の退職金に充当するような場合も考えられます。その場合の経理処理は下記のようになります。
仕訳例……借方 退職金/貸方 現金または預金
退職金の原資が解約返戻金でなくても同じ経理処理になりますが、退職金として処理できるのは社会通念上妥当な範囲となり、それを超える場合は給与としての処理が必要です。
3月に決算の会社は多いかと思います。本業には明るくても経理のことになると担当者任せにしている社長も多いようですが、生命保険の仕組みを理解し、会社経営に上手く賢く役立ててみては如何でしょうか。
※ここでは、終身がん保険にかかわる法人の一般的な経理処理について説明しましたが、契約時期や契約内容によっては処理方法が異なる可能性もあります。がん保険や医療保険の具体的な税務上の取り扱いについては、保険会社や顧問税理士、税務署等へ確認してください。
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