40歳代以降は長く眠れない
年齢とともに眠りが浅くなるのは、自然なことです
不眠症の症状には、寝つきが悪い「入眠障害」、夜中に目覚める「中途覚醒」、朝早くに目覚める「早朝覚醒」の3つがあります。過去1カ月の睡眠状態について週1回以上これらの症状があったか、尋ねた結果は次のとおりでした。
- 不眠症状なし 38.0%
- 入眠困難のみ 34.4%
- 中途覚醒あるいは/および早朝覚醒 55.0%
- 3つの症状すべてあり 18.1%
不眠症というと寝つきの悪さが注目されますが、実際には中高年の半数以上が、睡眠を維持できなくなってきている(中途覚醒+早朝覚醒)ことが分かりました。また、入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒の3つの症状すべてを抱える人が、中高年の約5人に1人に上りました。
次に、不眠症状の原因について尋ねました。
不安や興奮、緊張やストレス、考え事 50.8%
日中、十分に活動していないため 17.6%
生活のリズムが不規則 15.7%
不眠症状の原因として、半数の人が精神面の影響をあげています。一方、日中の活動量不足や生活リズムの乱れが原因と考えている人は、どちらも2割以下でした。日中に体を動かすことはストレスの解消につながり、眠る前にテレビやゲームをすると脳が興奮して眠れなくなるなど、これら3つの要因はそれぞれに影響を及ぼし合っていると思われます。
不眠症状に合わない薬を飲んでいるかも?
薬を飲むのなら、症状について医師とよく話し合いましょう
現在、飲んでいる不眠症治療薬の種類を尋ねたところ、以下の結果になりました。「GABA受容体作動薬」というのは、従来から使われてきた睡眠薬です。
「新規治療薬」には、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンと同様の働きをする「メラトニン受容体作動薬」や、覚醒機能をブロックする「オレキシン受容体拮抗薬」などが含まれます。
- GABA受容体作動薬
超短時間作用型 44.7%
短時間作用型 36.3
中時間作用型 21.6
長時間作用型 2.8
- 新規治療薬など 4.7%
夜中や早朝に目が覚めて困る人は、作用時間が短い不眠症治療薬を飲んでも、あまり効果がありません。超短時間作用型や短時間作用型の薬では、飲んでしばらくすると、薬の効果が弱まってしまうからです。中途覚醒や早朝覚醒の治療には、中時間作用型のGABA受容体作動薬や、オレキシン受容体拮抗薬が適しています。
生活習慣病があると睡眠維持力はさらに低下
泌尿器科の病気を治すと、よく眠れるようになることがあります
- 不眠症の疑いなし 45.7%
- 不眠症の疑いが少しあり 16.4%
- 不眠症の疑いあり 20.9%
- 不眠症あり 17.0%
生活習慣病患者の約5割(54.3%)が、「不眠症」または「不眠症の疑いがある」と判定されました。一方、生活習慣病がない人でのこれらの割合は、44.4%でした。生活習慣病がある人はない人に比べて、10ポイントも不眠症のリスクが高いということです。
生活習慣病がある人の、不眠症状の内訳は次のとおりです。
- 不眠症状なし 29.8%
- 入眠困難のみ 39.5%
- 中途覚醒あるいは/および早朝覚醒 63.2%
- 3つの症状すべてあり 22.9%
中年以降で生活習慣病を持つ人では、入眠困難の約2倍も、睡眠維持力の低下による不眠があることが分かりました。これらの不眠症状を改善するためには、生活習慣や寝室環境を整えることが基本です。しかし、それでも不眠が良くならないときは、医師に相談して、症状に合った薬を飲むことをお勧めします。
【関連サイト】
MSD 株式会社 「中高年の不眠に関する意識と実態調査」
眠れない・眠りが浅い
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