療養食・食事療法/消化不良・便秘・下痢など消化器系の療養食

過敏性腸症候群(IBS)の食事療法

過敏性腸症候群(IBS)は下痢、便秘、おなら、お腹の張りなど、様々なお腹の不調が見られます。腸自体には異常がないのに非常に不快な症状を引き起こすのが特徴です。食事療法やストレス管理などで症状を改善できる場合が多いと考えられています。今回は食事療法について説明します。

一政 晶子

執筆者:一政 晶子

管理栄養士・米国登録栄養士(RD) / 栄養管理・療養食ガイド

過敏性腸症候群はIBS(Irritable bowel syndrome)としても知られています。腸の中でも一般的に大腸に不調が見られます。症状は腹痛、絞られるような痛み、お腹の張り、おなら、便秘、下痢などがあります。特徴としては、大変不快な症状があるのに、これらの症状は腸にはに不可逆的なダメージを与えないことです。IBSはクローン病や潰瘍性大腸炎と異なり、炎症を引き起こしたり、腸の細胞を変えたり、大腸がんのリスクを上げません。ほとんどの場合は、食事療法やストレスを管理することでIBSを緩和・コントロールすることができます。

IBSの食事療法

食事療法を始める前に、どの食べ物が下痢、おなら、お腹の張りの原因になっているか観察してみましょう。食べたものを全て記録する必要はありませ。お腹の不調が現れた時に、10分前~数時間前に食べたものを記録してみましょう。しばらくすると何らかのパターンが見えてくるはずです。IBSは食事以外にもストレスや食事の仕方(大食い、早食い)などに関連している場合もあります。食事にしても、ストレスにしても記録しておくことでIBSの原因を予測しやすくなります。

下痢&便秘対策に食物繊維:増やしてOKのこともあればNGの場合も

食物繊維の摂取はとても大切でIBSの症状を改善する場合もありますが、逆に悪化させる場合もあるので注意が必要です。個人にあった応じた対応が必要となります。便秘や下痢に悩んでいる人は食物繊維量を増やして改善されるか確認してみましょう。しかし、急に食物繊維を増やすとお腹の張りの原因になったりするので、数週間かけて少しずつ増やしましょう。便の形成に欠かせない水分が不足しないようにたっぷり水分を摂取しましょう。食物繊維が豊富に含まれる食品には野菜、果物、雑穀類などがあります。食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維は便秘の改善に役立ち、水溶性は食物繊維は下痢の改善に役立つと考えられています。

食物繊維

食物繊維量の調整は気をつけて!

下痢や便秘に加えて日常的におならやお腹の張りに悩まされている人は食物繊維量のアップは向かないかもしれません。食事からとる食物繊維はおならやお腹の張りの原因になることもあるので、サプリメントの食物繊維を使うのもよいかもしれません。食物繊維のサプリメントを摂取するときは、食物繊維の量は徐々に増やし、サプリメントを摂取するときは十分な水分摂取をすることを忘れないでください。水分不足状態で食物繊維だけをアップさせるとお腹の不調が悪化します。サプリメントにしても食事療法にしても変化が見られるまで時間が掛かることがあります。1週間ほど試しただけですぐに結論を出さずに、数週間は様子をみる必要がある事もあります。食物繊維とは関係ありませんが、アルコールやカフェインは腸を刺激するために下痢の原因になることがありますので、これらも原因となっていないか確認していましょう。

注) お腹の不調にはIBSではなく深刻な原因が潜んでいることもあります。自己診断をせずに信頼できる医師などに相談して下さい。

お腹が張る原因になりえる食品

お腹が張る人は、アルコール、チョコレート、カフェイン、炭酸飲料水、乳製品、ノンカロリー・低カロリー甘味料(ソルビトール、マンニトールなど)が原因となっているかもしれないので確認してみましょう。必ずお腹が張る原因になるとは限りませんがよく原因として報告されています。

おならの原因になりえる食品

ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、豆、牛乳、炭酸飲料水、こってりした食べ物はおならの原因になる可能性があります。ガムを噛む人やストローを使って飲む人は空気を飲み込むことになるのでおならをしやすくなることもあります。

食事以外のアプローチ

腸と脳は複雑にシグナルを送りあっています。ストレスや鬱などもIBSを引き起こす原因になります。運動はIBSと関連しているといわれるストレスの緩和に役立つだけではなく、腸の動きを刺激してIBSの改善に役立つとも考えられています。

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