コーチング/コーチング基本知識

能力を引き出すコーチングの進め方

部下と日常的に会話を続けることができる。これが有能なマネージャーの特徴です。しかし会話は漠然とするものではありません。コーチ型マネージャーの会話のステップをご紹介します。

平野 圭子

執筆者:平野 圭子

コーチングマネジメントガイド

会話を続けるために必要なこと

心構え
有能なリーダーは会話を続ける努力をしている
有能といわれるリーダーに備わっている特徴的な能力があります。それは、日常の中で頻繁にコミュニケーションを交わすことができる能力です。会議室に呼んで改まってお互いに話すというのではなく、さりげない日常会話を頻繁に交わすことができる能力です。

コーチングとは、相手が目標を達成する際に必要なスキルや知識を特定し、目標達成するまで質問したり具体化することです。日常会話の中にその要素を盛り込むことができれば、関わる相手のパフォーマンスはぐんと上がります。そうはいっても、具体的にどのような会話を交わせばいいのか、なかなかわからないものです。

「最近はどう?」
「あれ、うまく進んでいる?」

くらいの会話は交わすことができても、それから先に話を進めるうちに、

「なんだ、まだやっていないのか」
「あれほど言っただろう」
「わからないやつだな」

と相手を非難したり、評価するような会話になってしまうというケースも少なくありません。会話を続ける、それも相手が行動するための会話を頻繁に行うということを実現するには、次の2つのことが重要なステップとなっています。
  1. 部下についての情報を持つ
  2. 会話に効果的な流れを作る
では、これから各ステップについて解説します。

ステップ1 部下についての情報を持つ

心構え
部下の情報を持っている上司ほど、力を引き出しやすい
ある会社の部長は、率いるチーム全員の成績が優れていることで知られています。たとえば彼は、海外に出張に出かけると、必ず一人ひとりにお土産を買って帰ってきます。それも、みんなにチョコレートというようなものではなく、部下一人ひとりに合ったものを買って帰ります。A子さんにはピンクの口紅、B子さんにはオレンジのマニキュアというように。

すなわち、彼は常に一人ひとりについての情報を持っており、その人が好きなものや似合うものを把握しているわけです。お土産の例は、その部長の一面を表しているにすぎませんが、趣味嗜好だけでなくその人に合った声のかけ方や仕事の指示の方法などについても工夫をしています。そのため、部長と部下との信頼関係があり、チームワークがよいなどの効果をもたらしています。

誰にでも100%同じように通用するコミュニケーションはありません。先ほどの会話の例でも「何でもいいから、いま気になっていることを教えて」という漠然とした言い方が通用する人もいれば、「今すぐに対応が必要なことを3つ教えて」という言い方が効果的な人もいます。

そのためには、相手のコミュニケーションのタイプ、強み、学習スタイル、スキルなどの情報を常に探り、その人に合った対応をすることが大切です。

あなたは、部下のことについてどれくらい知っていますか? あなたの部下を一人思い浮かべてください。そして、その人について、次の項目に答えてみてください。どれくらいその人の情報を持っているでしょうか?

  • その人の1年後のビジョン
  • 会社に期待していること
  • 成功体験や失敗体験
  • 入社の動機
  • 得意としていることや不得意としていること
  • 仕事がはかどる時間帯
  • 学習スタイル
  • モチベーションがあがるとき
  • ストレスが高くなるとき
  • コミュニケーションのタイプ
  • 誕生日
  • いま気がかりとなっていること
  • 家族構成
  • どんなときにうれしいか
いかがでしょうか。5つ以上の項目に答えられないとしたら、まず、それを知ることを会話のきっかけとしてください。
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