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首都圏大停電!その原因は・・・?(1)

猛暑の首都圏を襲った大停電!その責任は一体誰がとることになるのでしょうか?真夏の大停電事故によって発生した様々な損害の賠償責任についてご案内します。

執筆者:松本 進午

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お盆休み期間中の猛暑の首都圏を、まさかの大停電が襲いました。これによって、少なからず被害を受けた方も多かったのではないでしょうか?

原因は、クレーン船が送電線を損傷させたことによるものだったそうですが、今回はこの事故によって発生する損害賠償責任について考えてみたいと思います。(前回の記事はコチラ

大停電、首都圏を直撃!

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通勤時間帯の停電で、31万人以上の足に影響が出たそうです。
8月14日(月)早朝に、東京、神奈川、千葉の3都県で約139万世帯におよぶ広範囲な停電が起きました。この停電は約3時間後に復旧しましたが、JRや私鉄、地下鉄などが一時運行できなくなり、合わせて31万人以上の足に影響が出ました。また、エレベーターに人が閉じ込められたり、交差点の信号機が消えてしまったり、はては日経平均株価が算出できなくなったりするなど、その被害の広がりについては、計り知れないものがあります。

猛暑の首都圏を襲ったこの大停電の原因は、東京都と千葉県の境を流れる旧江戸川を走っていたクレーン船が、東京電力の送電線に接触したことによるものでした。事故を起こしたクレーン船は、しゅんせつ現場に向かう途中で、長さ33メートルのクレーンを川にかかる2本の送電線に接触させて、これらの送電線を損傷させたそうです。船に乗っていた作業員は、「初めての現場で、送電線の存在を知らなかった」と話していました。

「予測が不能でありました」

事故を起こしたクレーン船を所有する、茨城県の建設会社「三国屋建設」は、自社のウェブサイトで、今回の事故で同社の賠償責任がおよぶ範囲についてのコメントを発表しています。

同社の見解によれば、「クレーンが送電線と接触することにより、通常、予見される送電線の所有者の損害に限り、法的に賠償責任がある」とのことです。また、「停電が発生するかどうか、また発生するとしても、どの地区がどのような停電になるのか、また電力会社のバックアップがどうなのか、などなど、予測が不能でありました。」とも述べられています。

法的な損害賠償責任を認めるには、クレーンが送電線と接触したことと、発生した損害との間に、民法でいうところの「相当因果関係」(民法709条、同416条)が必要となる、というのが同社の主張の根拠となっており、この考え方については自動車事故における損害賠償についても妥当するものです。

要するに、送電線を損傷したこと(直接的な損害なので「直接損害」といいます)については責任を認めますが、停電によって電車が止まったり、パソコンが使えなくなったり、熱帯魚が死んだり、といった間接的な損害については「予測が不能でありました」として、「賠償責任を認めません」というのが同社の主張です。

「電力供給約款では免責です」

一方で、東京電力は「三国屋建設の対応についてコメントする立場にない」としながらも、「電力供給約款では、停電などのトラブルの原因が東京電力にない場合は、損害賠償責任の免責が規定されている。今回はクレーンが接触しなければ停電しなかったのであり、この免責規定が該当すると考える」(共同通信)と述べています。

つまり、停電について直接の責任がないので、約款上免責(つまり責任を免れるということ)です、というのが東京電力の主張です。

それでは誰が責任をとるの? 次回に続きます>>
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