自動車の盗難は月500件以上とも言われている
イモビライザーで盗難対策を!
自動車を運転していて他人にケガをさせてしまった場合や他人の財物を破損させてしまった場合の補償である「対人賠償保険」と「対物賠償保険」のほかに、運転している皆さん等の身体の補償となる「搭乗者傷害保険・人身傷害補償保険」、車両の損壊を補償する「車両保険」です。そして、この他に様々な「特約」があります。
しかし、「対人賠償保険」や「対物賠償保険」の加入率が73.1%(注2)であるのに対し、車両保険の加入率は42.1%(注3)に留まっており、自動車保険の加入者の誰もが車両損害の補償を受けられるといった状況にはなっていないようです。
一方、自動車盗難の事故は多発しているようで、日本損害保険協会の調査(注3)によると2012年11月1日から11月30日の1カ月間で、少なくとも500台以上の車両が盗難に遭っています。
2007年の調査以降、トヨタのハイエースが6年連続で盗難件数が最も多いようですが、2012年度対前年度比では42.7%の減少となっています。このことについて日本損害保険協会の考察によると、ハイエースには2012年5月販売モデルから盗難防止装置である「イモビライザー」が全車に標準装備されたことから、更なる減少が期待されています。
盗難防止装置「イモビライザー」とは
従来、自動車の鍵はキーシリンダーとの噛み合わせが合っているか否かでエンジンを始動させるため、もちろん鍵屋さんで複製した鍵でもエンジンを始動させることが可能でした。それに対して「イモビライザー」とは鍵の形状だけではなく、電子的な照合システムによって、専用の鍵以外ではエンジンの始動ができないというものです。イモビライザーは、鍵に埋め込まれたトランスポンダ(電子チップ)固有のIDと車両側のコントローラーのIDとを照合し、その一致を条件にエンジンが始動する仕組みとなっており、鍵の複製だけでは車上荒らしをできたとしても、エンジンをかけて車両を盗難することは簡単にできないようになっています。
自動車保険の割引も
イモビライザーの技術が開発され普及していく中で、車両盗難リスクの軽減が期待されることから、2002年1月1日以降に保険始期を迎える保険契約について、イモビライザーが装備されている車両は保険料の割引が適用されるようになりました。そして、イモビライザーによる割引は、「車両保険」の保険料の3%程度が一般的になっているようです。なお、損害保険会社によっては「イモビライザー割引」という名称を使わずに、「盗難防止装置割引」とし、イモビライザーに限らず「異常通報システム」や「GPS追尾システム」を装備している車両についても保険料の割引を行っています。
ただ、技術の進展とともに盗難の手口も巧妙になり、イモビライザーなどの盗難防止装置が装備されているからといって完全とは言えない状況です。また、保険に加入して経済的な補償を得る体制を整えたからといって、車両盗難の被害に遭うことは受け入れ難いものだと思います。ですので、念には念を入れて様々な対策を考えて、取り組むことをお勧めします。
注1 本稿でいう「自動車保険」は任意保険のことをいう
注2 日本損害保険協会「日本の損害保険 ファクトブック2013」2013年9月27日、値は2011年度末
注3 日本損害保険協会「2012年度 自動車盗難事故実態調査 結果報告」2013年3月21日