資産運用/資産運用の注意点とリスク

世界株式ファンドの中身もピンキリなんです

アセットアロケーションを組む時に日本株と外国株の構成比率が語られます。しかし、外国株あるいは世界株式とは一体どんな内容なのでしょう?分かったようで分からない世界株式の構成を確認しましょう。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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国際分散投資が広まってきたのはとても良いことですが、少し誤解もあるようです。それは、「世界株式」を一つの固定的なアセットクラス(資産分類)としてアロケーション(配分)を考えてしまうことです。「世界株式」とはまったく雑ぱくな言い方で、その中身はピンからキリまであります。

アセットアロケーションの誤解

新賢明なる投資家 上
日本以外の海外株式に投資する必要性に異を唱える人はさすがにいなくなってきた。しかし、その海外株式の中身にまでこだわる人はまだまだ少ない。
「世界株式」という唯一無二のアセットクラスは実際には存在しません。知られているのは、主要国を特定の国別比率で組み合わせたインデックスで、仮想アセットクラスとはいえます。

現実には「世界株式」という名の下に実は無数のアロケーション・パターンが存在します。その世界株式の内訳を特定せずにアセットアロケーションの巧拙を語っても、あまり意味がありません。

地球上のすべてを含むような「世界の・・・」という表現では、平和だとか紛争だとか、豊かだとか貧しいとか、成長とか停滞とか、その対象が巨大すぎて一概にコメントしようがないのと似ています。

MSCIによる国際株式の構成

もっとも有名な仮想アセットクラスの典型は、MSCIコクサイの国別構成比率です。多くの世界株式ファンドが、このインデックスをベンチマークとして運用されていますから、各社のファンドを比較するための標準的な物差しにはなっています。

しかし、それが神聖なるポートフォリオであったり、あるいはもっとも効率的なのだと考えることはいささか早計です。世界中の株式をどう組み合わるかには、いろいろな方針があり、その方針に基づいた様々な国別構成比があり、結果としてのパフォーマンスも一様ではありません。

例として、同じ「世界株式」でも、MSCIコクサイとは似て非なるポートフォリオ二例を、下の表にまとめてみました。保守的な「世界株式」もあれば、積極的な「世界株式」もあり、そのリターンの大小は様々です。

写真のタイトル
世界株式を対象とする国別構成比率の3つの事例です。構成比率の違いがリターンの優劣を生み出すと考えるのがアセットアロケーション理論の基本です。
※MSCIとはMorgan Stanley Capital Internationalの略で、MSCI社は世界の機関投資家にベンチマークとして様々なインデックスを提供しています。MSCIコクサイ(kokusai)は日本を除く世界の先進国株式市場の世界的な株式指数で、主に日本から世界に分散投資するときに使われるドル建ての代表的インデックス。

では、国別内訳が異なると、どのくらいリターンに影響を与えるのでしょうか?詳しくは次のページで
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