「困る」人も「困らない」人も未納してはいけない!
結論としていえば、普通に働く普通の人こそ未納してはいけない、ということです。未納で困るのは自分であり、未納で失うのは自分が年金を将来受け取る権利です。1カ月の未納で失う権利は小さいかもしれませんが、5年や10年といった未納で失う損失は大きいものがあります。また、15年以上未納してしまうと国の年金を1円も受けられないことにもなりかねません。未納の問題を話すと、すぐに「制度が破綻するから」とか「どうせもらえないから」という意見を言う人もいますが、これは未納の言い訳には当たりません。もしそう思うなら、未納した代わりに自分で貯金する必要がありますが、こうした人に限ってそうした準備をしていないからです(2億円作れる人は「困らない」人といえます)。
仮に年金水準がどんどん下がったとしても、年金をもらう権利がリセットされることはありませんし、年金制度が全廃されることもありません。そのとき、過去の未納は一生ついて回り、確実に老後の年金を受ける権利を減らしてしまいます。つまり、未納していた人は下がった年金をさらに少ししかもらえなくなるわけです。「困る」度合いが大きくなりこそすれ、「困らない」状態には決して近づけません。やはり、「困る」人こそ未納はしてはいけないのです。
また、未納で「困らない」人が未納してはいけないことも言えます。なぜなら、未納で困らない人=所得水準が高かったり資産がある人、ということが言えますから、こうした人は保険料を支払う余力が大きいと言えます。自分の権利、という側面だけでなく、相互扶助や所得の再分配、社会保障という観点から考えるとこうした人たちはなおさら、負担を免れ得ないということになります。こうした人たちにとっては未納は脱税の異形態であるとさえいえます。年金保険料を納めるということは、つまり社会的責任でもあるのです。
つまり、未納はやっぱりよくない、ということなのです。仮に今ある制度が納得できないとしても、今ある制度で得られる年金を受ける権利を失うことは得策ではありません。きちんと公的年金制度には加入しておきたいものです。
[ポイント] |
・未納で「困る」人は未納してはダメ! ・未納で「困らない」人はなおさら未納しちゃダメ! |
次回予告 第2弾 「よい」未納!「悪い」未納?
一口に「未納」といってもいろんなシチュエーションがあります。モノによっては「悪くない未納」もある!? 未納の悪口を言う前に未納のパターンについて考えてみましょう。
▼「よい」未納!「悪い」未納?▼
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