「年金負け組」のストーリー
私の名前は山口一恵(仮名)、45歳。独身で子どもを作らなかったからといって「負け犬」と呼ぶ風潮はちょっとひどいと思う。確かに私は独身だし、子どももいないけれど、仕事もまじめにがんばっているし(派遣社員だけど)、自分で借りた部屋の家賃も生活費も自分でちゃんとやりくりしている。キャッシングにも依存していない。何が悪いというのだろう。ところが、派遣社員というものの不安定さを思い知らされたのは35歳を過ぎてからのことだった。なかなか派遣の仕事が来なくなってしまったのだ。給料があまり上がらないのは覚悟していたのだが、さすがに待機期間が半年以上になることは想定していなかったので、これは辛かった。俗に「35歳定年」と呼ばれる状況だと気づいたときは後の祭り。私は特に資格もなかったので、自分でチャンスを狭めてしまっていたらしい。
仕事がみつからない期間は貯金を取り崩すなどしてやりくりして、なんとか資格も取った以降は、仕事に困らなくなったが、その期間のマイナスは大きかった。自分の家も買えなかったし、貯金もほとんどできなかった。
来年からようやく年金生活(65歳)だが、この先もなかなか大変だ。厚生年金がもらえる、といっても毎月13万円程度しかない(2004年水準)。親の家は、兄夫婦が住んでいるので一人暮らしを続けていたのだが、これからも家賃も払い続けなければいけない(国の年金が老後は自分の家がある人を前提にしているなんて知らなかった……)。
体が動く限りはバイトでもパートでもして働きながら老後をやりくりしていくつもりだ。……こんな私はやっぱり「負け犬」だったのだろうか?
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