いやいや、年金もそう悪いわけではない

皆さんは年金の標準的な水準と保険料率を正確に言えますか? ほとんどの人は言えないと思います。諸外国と比べてどうか、なんてさらに難しい話です。

日本の年金制度はあたかも崩壊寸前の制度のように言われていますが、実はそうでもないのです。もちろん国のコンセプトの違いもありますので一概には比較できませんが、いくつかのポイントで比較してみましょう。

たとえば、日本の年金保険料って「高いなあ」と思っているでしょうが、世界に目を向けるとそうでもないんです。代表的な国の保険料は以下のとおりです(年金シニアプラン総合研究機構「世界の年金制度(2005年10月現在)より」)。それぞれ会社員が加入する報酬比例型の制度の保険料率です。

イギリス   23.8%+α
イタリア   32.7%
ドイツ    19.5%
スウェーデン 18.5%
日本     14.3%
アメリカ   12.4%

実際には税金から社会保障に還元される分もあります。たとえば日本では国民年金の3分の1は税金からまかなわれていますし、ニュージーランドのように保険料は0円で全額税金で支給するところもあるほどです。そのため一概に比較はできませんが、日本の年金保険料は相対的に低いことが分かります。

もらえる額については為替レートによって大きく変化しますので各国の所得代替率(退職前所得と年金給付額の比率)で見てみたいと思います。こちらはOECDのレポート『図表で見る年金2007(Pensions at a Glance)』からの引用ですので、国内で一般に提示されている数値とは異なります。

イタリア    67.9%
スウェーデン  62.1%
アメリカ    41.2%
ドイツ     39.9%
日本      34.4%
イギリス    30.8%

保険料が高い国が所得代替率も高いのは当たり前ですから(一部そうでない国もあります)、日本の場合は「負担もそこそこ、給付もそこそこ」ということです。ちなみにスウェーデンなど北欧の場合、税金も高いので「負担が低くて給付が高い」と考えるのは早計です(財務省によれば税金も含めるとスウェーデンは70%の負担率です。日本はまだ40%というところです)。

こうしてみると、日本の年金制度がそれほど最悪なものではないことが分かります。また、日本の場合は保険料の積立金があるのも諸外国とは異なるポイントです。日本の場合、110兆円以上の資産を保有しておりこれに保険料を加え、かつ運用益をプラスすることで毎年7兆円近い給付があっても持ちこたえられるようにしています。将来的にはこれを取り崩すことで財政をキープすることもできます。実はドイツのように、保険料が数ヶ月ゼロ円になるだけで年金積立金が空っぽになる国もあるのです。

正直に書いているので、「日本の年金、バラ色!」とはいきませんが、それでもそう悲観するほどでもないと思いませんか?

→健康保険もなかなか日本はがんばってる!