帰省したら親のお金の話を聞いておこう

年末年始に故郷に帰省し親と久しぶりに会う、という人が多いと思います。帰省したら仕事のことは忘れて、くつろいでのんびりしたい、という人も多いでしょう。お金のことなんかあまり考えたくない、というのが本音でしょう(帰省にかかる費用の件と、お年玉の件は気になりますが)。

しかし、帰省して親と少し話し合ってほしいことがあります。それは「親のお金」のことです。「なんでこのタイミングに?」という人もいることでしょうが、それはむしろ逆です。「このタイミングのほうが話がしやすい」のです。

まず、顔を合わせず、電話で聞き出すにはテーマが深刻です。対面で話し合うのがお金の話では一番です。それに、電話でいきなり親の資産状況について聞けば、下手すればオレオレ詐欺と間違われかねません。

次に、何もない時期にいきなりお金の件だけのために、里帰りすることはあまり考えられません。6月にいきなり帰省してお金の話を切り出せば、借金の申し入れと思われてしまうかもしれません。

また、暇なときにと思っていると、この話題はずるずる先延ばししてしまいがちです。むしろ、思いついたときに、さっと終わらせてしまうことが大切です。病気で倒れてから慌てて病床の両親にお金の話を聞くことは避けたいものです。

つまり、「年末年始にさりげなく親のお金の話をしておく」のが合理的なのです。マネーハック的に考えてみましょう。
 
年末年始は親とお金の話をするベストなタイミング

年末年始は親とお金の話をするベストなタイミング

 

親に聞いてみたい、親のお金の話

親に聞いてみるといいお金の話はおおむね4点です。

1)健康の状況
健康の状況について切り出すところから始めるとお金の話につなげやすいかもしれません。まずは健康診断の結果や持病の進行状況などを話題にしてみます。健康が悪化し治療を要するようになると、健康はお金の問題に変わり始めます。

介護保険や医療保険をフル活用することは前提ですが、病院が近くにないため通院の交通費がかかるとか、リフォームを考えた方がいいというような話題も経済的問題につながります。自分自身がもしものときに備えておくためにも、親の健康は話題にしたいものです。

2)保険の状況
保険や共済などに加入しているか、どのくらいの保障があるのか、あるいは保険証券はどこにしまってあるのか、健康状況の話題につなげてさりげなく聞いてみます。今から新規に保険を考える必要はあまりありませんが、今どのような保障が受けられる保険に加入しているのか(負担は過重ではないか)をチェックするのがポイントです。

また保険証券の保管場所(いつもの引き出しの一番上、のように)を決めてもらい、もしものときには、すぐ出せるようにしておきたいものです。

3)収支の状況
公的年金がどれくらいの収入になっているかあまり細かく聞くと話が止まってしまう恐れもありますが、だいたいどのくらいかは知っておきたいところです。

親の通帳を直接見る機会はなかなかないので「年金だけでなんとかやっていけそう?」のように話を振って、水準を予想しておきます。毎月どれくらいの赤字になるかも分かればなおいい感じです。なお、計画的に手持ち資産を取り崩せば、足りる程度なら赤字になることは問題ではありません。

4)財産の状況
財産の状況や借金の所在(とその額)については、もっとも聞き出しにくい項目です。しかし、おおむねのところを知っておきたいところです。

ポイントを整理しておけば、「1000万円単位くらいで財産の状況を知っておく(1000万円もないよ、ということが分かればそれも情報の一部)」「借金があるか、ないかを知っておく」「借金がある場合は、しっかり聞き出す(返済計画はどうなっているのか)」という手順でしょうか。

なお、借金については先に父親が亡くなり、知らずにいた母が背負うようなことになると面倒ごとなので、きちんと聞き出しておきたいところです。
 

子は親のお金の心配もすべきである

子どもとしては「親のお金の心配までする必要はない」と思うかもしれません。今まで親は自分の一歩先を進む存在であったからです。

しかし、あなたが40~50歳代になり、親は年金生活に入るような状態であれば、必ずしも親は一歩先にいる存在ではなく、時として子が親の面倒を見ることも考えなければならない関係に変わります。帰省時に少し体力の弱った親の姿を見たら、そうした自覚を高めていく必要があります。

たとえば、父親が脳梗塞で倒れ、慌てて駆けつけてみたものの会話ができる状態になく、母親も家庭の経済状態を全く知らない、というのでは大変面倒なことになります。むしろ、元気なときにこそ、こうしたお金の話題をしておき、意識や情報を共有しておきたいものです。

親のお金の心配をすることは、余計なお世話ではなく、親孝行だと考えればいいのです(頭の中の固定観念を発想転換するべきです)。もしかすると、両親もあなたに話をしたいけれど、しにくいと思っているかもしれません。

兄弟姉妹がいる場合は、お互いの意識共有もしておきましょう。長男に任せればいい、というような考えもよくありません。兄弟姉妹で話し合うためにも、年末年始や夏の帰省時など、家族がそろうときがいいタイミングです。
 

元気なときにしておきたい話をもう少し

さて、もう少しだけヒントを。親が元気なうちに話しておきたいテーマは、家計の経済だけではありません。例えば以下のような話題もしておくとよいでしょう。

成年後見(痴呆に備えて)
もし、認知症が進行して、親が自分の判断でお金を引き出したり、金融商品の契約をできなくなったりしたとき、子がこうした契約を代わりに行えるようにする仕組みが「成年後見制度」です。

金融詐欺やリフォーム詐欺など、親をだまして全財産をむしりとろうとする業者はたくさんあります。任意後見者として手続きをしておけば、もしものときにもスムーズに、親の契約の代理人になることができます。

葬儀の希望や連絡先
こういう葬式にしたい、というイメージを親が持っているのなら、叶えてあげたいと思うのが子の心情ではないでしょうか。

そうした話を臨終の間際に聞き取れるとは限りません。むしろ元気なときにリラックスした状況で、葬儀の希望について(例えば「○×の曲を最後に掛けて欲しい」など)聞いておくといいでしょう。年賀状など親交のある連絡先についても確認しておくとなおいいでしょう。

どちらかが先だったときのこと(遺言)
「遺言」というと難しく考えてしまいますが、故人の遺志を子や親族に伝える手段です。最近では、遺言作成キットのようなものもありますので、渡してあげるとよいでしょう。本当に体調を崩したときに渡すと、親に覚悟を促す雰囲気になります。元気なときに渡してあげたいものです。

また一般論でいえば、父親が母親より早く亡くなる可能性が高いものです。そのときにどうしてほしいか、父親の意向を聞いておけるとなおいいでしょう。

帰省していきなり、親のお金の話はしにくいものです。お正月もちょっとそういう話はしにくいところでしょう。

1月の2日あるいは3日あたりがチャンスかもしれません。箱根駅伝でもこたつで見ながら、さりげなく、「親のお金」の話を切り出してみてはどうでしょうか。


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