3年で利用者が500%に増えたiDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、とてもお得な仕組みです。自分の老後のための資産形成をした場合、掛金相当額については所得税や住民税を課さない(所得控除)という、強力な税制優遇があります。つまり、税負担が下がるわけです。

また運用収益も非課税となり、有利にお金を増やすことができます。受け取り時には課税されるものの、税率が低いか非課税受け取りが可能であるため、お金を増やす方法として有利であることは間違いありません(受け取り方法と加入年数によって非課税額が変わる)。

かつては、自営業者や企業年金のない会社員に利用が制限されていましたが、2017年1月から公務員や企業年金のある会社員、専業主婦でも加入できるようになりました。この3年で加入者数は500%増、つまり約5倍になっています。昨年末で147万人が有利な制度を活かした資産形成を行っています。
iDeCo

iDeCoを活用して資産形成をする人は年々増えている
 

特に利用者が増えたのは公務員で、ざっくり7%が加入しています。自営業者はだいたい1%の加入率なので、その差は大きいところです。

ところがこのiDeCo、使い勝手が悪い人たちが723万人もいて、現実的には利用できませんでした。しかし、今回の法律改正が実現すると、彼らもiDeCoに入れるようになります。
 

会社が確定拠出年金を実施していると利用不可?

iDeCoは個人型「確定拠出年金」という名称ですが、同じ制度で個人が入る仕組み(iDeCo)と、会社が実施して社員が入る企業年金(退職金制度の一部ないし全部)として実施するものの2種類があります。このうち会社が実施する企業型の確定拠出年金が、723万人ほど加入しており、会社員の5人に1人くらいが対象です。

個人の老後のお金を貯める仕組みと、会社の退職金を準備する仕組みがひとつの法律によってできているという、ちょっと不思議な仕組みになっているのが確定拠出年金の特徴なのです。iDeCoと企業型の確定拠出年金は、同時に加入できないことが原則です。そのため、「iDeCoに入りたいけど入れない」という人が出てきました。

例外として会社が同時加入を認めて会社の制度を縮小した場合のみ、同時加入できるのですが、それでは退職金が縮小されるようなものですから、あまりうれしくありません。実際利用率は1%程度といわれています。
 

法律が改正されたら誰でも月2万円までiDeCoがOKに

今回の法律改正がうまく国会で成立すると、「企業型確定拠出年金に入っている人は、誰でも月2万円のiDeCo積立ができる」というルールに変更されます。

会社側の許可は必要ありません。ただし、企業型確定拠出年金の毎月の拠出上限である月5万5000円を超えてはいけないので、「会社の出す掛金+個人の出す掛金」は合計で5万5000円以下に納めなければいけません。

つまり、会社が月3万5000円以上拠出している人は、iDeCoに積み立てられる金額がその分少なくなります。これは、金融機関の間で自動チェックする体制を用意するとしています。

また、企業型の確定拠出年金と、確定給付型の企業年金制度を同時に持つ大企業などでは、企業型確定拠出年金の限度額が月2万7500円、個人がiDeCoで積み立てられる限度額は月1万2000円と縮小されます。合計で管理する仕組みは同様です。

これにより、現役世代の個人はiDeCoに誰でも加入できるということになります。先ほど紹介した723万人にとっては朗報です。
 

口座開設できるのはいつから?

さて、この法律改正が実現するのはいつ頃でしょうか。実はまだ原稿作成時には法案が未提出のため、タイミングが明らかになっていません。

まずは今年の通常国会で法案が成立するとして、いつくらいが実施時期になるか予想してみます。まず、2021年というのは考えにくいと思います。

その理由は、システム改修が必要になるからです。簡単に説明しましたが企業型確定拠出年金とiDeCoの限度額の合計についてチェックする仕組みが必要であり、システム開発や金融機関間の連携体制の確立に要する時間を考えると、2年もしくは2年半くらい先になるのではないかと予想しています。

最短では2022年1月ということですが、2023年1月スタートとなっても、全くおかしいことはありません。なんだかちょっと先のことになってしまいますが、それでも規制緩和がされるのはありがたいことです。法案の成立と、規制緩和の実施を期待して待ちたいものです。

ところで、今回のiDeCoの法律改正には、さらなる規制緩和もいくつかあります。今後タイミングをみて紹介したいと思います。


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