※この記事は後編です。前編「働く女vs専業主婦?年金の戦い/働く女性編」からお読みください。

働いているけど専業主婦?

もうひとつ話をややこしくしているテーマがあります。それは「パートをして収入がある専業主婦」の存在です。年収が103万円まででしたら、(いろいろ控除が受けられるため)税務署的には所得がないと見なされます。健康保険は夫の扶養者になれるので自分で払わずにすみますし、住民税も払わずにすみます。国民年金保険料ももちろん払わなくてすみます(国民年金保険料を納める基準は年収130万円)。

第3号被保険者であり続けることは、年金だけでなく総合的にとてもトクな状態になっています。年収を130万円や150万円まで増やしてもいろいろ引かれると100万円と大差なくなってしまうほどです。

そのため、こうした制約を意識して多くの女性が「年収100万円以内で働こう」と考えてしまっているようです。ある会社では会社は制限していないにもかかわらず、パートの95%以上が年収103万円以下だったそうです。つまり、制度が人の働き方を制約するという、変な枠組みを作り出してしまっているのです。

こんな制度がある限り、おそらく多くの女性が再就職するとしても正社員を選びませんし、年収も100万円稼ぐところでストップしてしまうでしょう。それも働き方の一つではありますが、あまりにも受動的な決定です。

また、こういう状態をじっくり考えてみると「働いているのに専業主婦」という不思議な層が誕生してしまっていることに気づきます。正確な人数を計算することはなかなか難しいのですが第3号被保険者の人数は1079万人(平成18年度)日本の女性(20~60歳)の32%に該当します。子どものある世帯の母親の27.7%がパートやアルバイトで働いているとの資料がありますから、かなり多くの人が「働いている専業主婦」になっていると思われます。

よく「第3号被保険者は所得がない……」という言葉を聞きますが、実態はずいぶん違うのではないでしょうか。むしろ働いている女性自身が「働いているけど専業主婦の振りをしている」と思っているかもしれません。これでは仕事にプライドを持って働けません。何のため、誰のためにこうした制度の優遇があるのか、再考してみる時期にきているのではないでしょうか。

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