温泉/関東の温泉

混浴の湯倉温泉と新鮮な川口、玉梨温泉

只見川の川畔に建つ析出物の山を持った湯倉共同湯。隣の小さな宿ながら瀟洒で良い鶴亀荘。会津川口にある地元用の共同湯は薄く白濁している。そして浴槽が赤褐色に染まった炭酸分の多い玉梨温泉共同湯のレポート

執筆者:郡司 勇


大析出物で混浴の湯倉共同湯と白濁した新鮮な川口温泉



只見川は緑色の流れになって細長い湖のようだ、その湖畔に建つ析出物の山を持った湯倉共同湯。隣の小さな宿ながら瀟洒で良い鶴亀荘。会津川口にある地元用の共同湯は薄く白濁している。そして浴槽が赤褐色に染まった炭酸分の多い玉梨温泉共同湯のレポート


 

 1  湯倉温泉 共同湯   


1. 60.6度の食塩泉 炭酸も含むが熱いのですぐ抜けている
2. 緑色、塩渋エグ味、少金気臭
3. 混浴
4. 熱い湯で98%は流れ去っていて捨てられている
5.析出物の山は健在


湯倉1
析出物の山の上を流れ落ちる源泉


湯倉共同湯は国道から只見川の対岸にあり、橋を渡ってアプローチする。対岸からも見える析出物の黄色い山は健在で、共同湯も以前と同じく存在していた。脱衣場は2つあるが浴室が一つの混浴の共同湯で、全国的にも珍しい。熱い湯で60.6度の食塩泉が源泉より多量に自噴しているので、浴槽の縁を湧出分だけ通り過ぎそのまま只見川に流れ去っている。浴槽に使っているのは雑巾で止めているがわずかにタラタラと流れ込んでいるだけである。98%は使っていないでそのまま流れ捨てている



湯倉2
褐色の湯と流れ去る源泉


しかしその源泉が外気に触れ、炭酸分が析出物となって蓄積し、小山になっている。年々大きくなり今回はかなり立派な黄色い山になっていた。ミニ二股ラジウム温泉の崖である。湯は緑褐色に濁った、含石膏食塩泉で総計6090mgのものである。炭酸は115mgの表示ながら源泉から大量に抜けているのがシューという音でわかり実際は1000mg以上であろう。緑褐色、塩渋エグ味、少金気臭と記録した。


 2 湯倉温泉 鶴亀荘  



1. 玄関は古いながら瀟洒な造り。
2. 総計6090mgのNaCa-Cl.SO4泉。
3. Fe 3.7mgにしては色が濃く出ている
4. Na 1431 K 105 Ca 358 Cl 1483 SO4 1519 HCO3 866 CO2 115というなんでも入っている泉質
5.緑褐色、塩渋味(渋味多し)少金気臭 小さな露天風呂あり


鶴亀1
瀟洒な鶴亀荘玄関


外観は普通でも居心地の良い宿があるとすればこの鶴亀荘であろう。外観から感じるよりもずっと洗練された玄関の空間があった。一瞬でこの宿に泊まってみたいと思わせる雰囲気があり、良い宿であることが分かった。


鶴亀2
扇型の内湯浴槽に褐色の湯


今まで共同湯ばかり来ていて同じ湯のこの宿には寄らなかった。しかし浴室からは緑白濁した只見川の眺めと、やや熟成し共同湯よりも赤くなった湯があり、のんびりした時間が漂っていた。内湯はコンクリートの半円形の浴槽で窓から出ると小さな露天風呂がある。適温になるようにゆるく掛け流され共同湯よりも熟成が進んでいて赤褐色になっていた。。


鶴亀3
只見川沿いの景観の良い露天風呂


共同湯と同じ源泉で60.2度の食塩泉で総計6090mgの温泉である。分析表をみると毎分55.6リットルである。共同湯浴槽横の側溝に流れている量は多く感じるが実はこんなに少なかったのである。多量に出ていても濾過循環する温泉が多いのは本当に設備業者の利益のためと清掃の手間をなくすだけであるとしみじみ感じた。Feは3.7mgながら赤くなっており源泉の熟成度でかなり視覚的にも変わるのである。8.5mgのFe含有量ながら、ほとんど透明の大塩温泉と使い方の差で大きく個性も変わるのである。温泉とは含蓄のあるものであると思った。



次は白濁した小さな共同湯「玉縄の湯」 
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