3. こうの湯 褐色
黒川温泉のもっとも下流の高台に位置するこうの湯も赤褐色の湯が個性的であった。面白いもので黒川温泉中心部は透明な酸味のある温泉であるが、周囲に色付きの温泉がまばらに点在している。
田の原よりやや下流のうしず温泉は緑白濁でその少し上流の七滝温泉は薄い白濁で黒川荘と類似しており、黒川温泉街を越えてもっとも上部の尾根の上に有る下鶴温泉は赤褐色である。
こうの湯は比較的新しく開業したのか瓦の屋根が瀟洒な本館の周囲の雑木林がまだ疎林である。離れの温泉棟があり「森の湯露天風呂」と命名されている。深い庇の奥にある玄関には、風情を出して囲炉裏の火があり、乾燥とうもろこしが下がっている。九州の温泉宿の演出アイテムである。
入り口の管理のおじサンに褐色の湯であるか?と質問したところ本日は薄い色であるという。しかし入湯してみるとかなりの褐色で黄土色のようになっていた。下鶴温泉のような外観の湯であった。最濃厚な時は見ていないが鉄鉱泉のように真っ赤になるようだ。泉質は単純泉と明記されている。鉄分が8mg前後含有されていると推測した。広い露天風呂に弱く掛け流しされているが冬は加熱するようだ。
4旅館 美里 乳白濁 硫黄臭強し
黒川温泉は単一温泉郷と思っていたが含蓄がある。硫黄泉好きには狂喜するであろう強力な硫黄泉がなんと中心部にあった。旅館美里である。
黒川にしては鉄筋コンクリート造りで、外観は素っ気ないが露天風呂の浴槽に近づくと硫黄臭が漂ってきた。いご坂地獄の隣にあり共同湯の地蔵湯は透明、少酸味、無臭の湯ながらこちらは完全に白濁した硫黄泉であった。
あまりに不思議なのでこの湯は入浴剤を入れているのではないかと疑ってしまうほどだ、しかし立派な硫黄泉で乳白濁、苦味+少酸味、強い硫黄臭であった。湯口からではなく湯面から硫黄臭が立ち昇り素晴らしい新鮮な硫黄泉が使われていた。内湯にも入って見たかったが午前中で清掃のためカラとのことで露天風呂に入湯した。白濁色が強く20センチはないであろう。万座の湯の花旅館を彷彿させる白さであった。
5地蔵湯 (再訪) 弱い酸味 いご坂地獄が源泉
いご坂を下りついた先にあるふもと旅館のとなりが共同湯の地蔵湯である。瓦屋根の瀟洒な外観であるが内部はシンプルなコンクリート浴槽のものでいご坂地獄源泉が入れられている。小さなもので浴槽の廻りに脱衣棚がある。湯は透明、少酸味、無臭である。100円入れると開く自動ドアの無人管理であった。