温泉/東北の温泉

アウトドア気分で出かけたい野湯・秘湯 ガイドが選ぶ 川の湯 山の湯(2ページ目)

全国の温泉で川全体が温泉になっているところと歩きでしか行けない山の温泉を紹介します。また最近の湯俣温泉行のレポートもあります。

執筆者:郡司 勇

湯俣温泉

「噴泉塔の湯」  

写真上(噴泉塔)

北アルプスの裏銀座コースの途中に温泉がある。入口は葛温泉の先の七倉ダムです。ゲートからここまではタクシーしか入れない。その終点より2時間強を歩いて来た湯。流れの速い渓流の対岸に噴泉塔がみえる。近づくと白亜の象牙のようである。アイボリックタワーといった光景は壮観で美しい、高さ3.5mほどはあると思われた。川となって流れ去る湯は熱湯で、全て未利用の湯を見ていると陶々たる地学的な長い時間が思い起こされた湯であった。

天気が上々で清冽な空気と清流に囲まれて入る湯は温泉の良さとはなにか、を自分に問うていた。しかし一瞬で実際入って感触すると興ざめしてしまう現実を察知してしまった。(しかし実際はそうとう良いものではあるが)この光景と周囲の自然との全環境から私に訴えてきたので入浴は確認作業であり感動のほんの一部しか与えられないことはアプローチの段階で分かっていた。ある一つの温泉と比べ何倍もの意識が私を貫いていたのであまり良いとか悪いとかの判断をするものではなかった。ツバクロ岳の花崗岩の稜線が白く高く見え北アルプスであるなあと、現実に引き戻してくれたのは不思議なことに景観であった。宿と同系の食塩系の硫黄泉。 

 「噴泉塔の下流にある堰堤下の湯」

写真下(噴泉塔の下流)

発電採水用の堰堤は増水時に流れる用に斜面となっているが硫黄の析出物が付着し薄暮には怖いほどの超現実的な白く浮かび上がった美しい壁となっている。下の水溜りには横の壁より水面に湯が上から入り珍しい。足元湧出と逆の湧き方である。下から堰堤下の湧水が冷たく不思議な感触。みんなで掻き回しながら入る楽しいものであった。
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