12月になると、台湾の北部に位置する台北や近郊は少し肌寒く感じるようになります。暑いアツイ夏が終わって、ようやく汗もかかなくなりました。日本人にとっては、冬将軍の到来ではないのですが、台湾の人々にとって12月は冬そのもの。鍋物で体を暖めたくなるのもこの頃です。
台湾東部や南部は、冬と言っても半袖や長袖シャツなどで過ごせる気候ですが、台北や基隆など北部はコート着込む日もあるほど(3000m級の山には雪が降ります)。だから、台北近郊では鍋専門店をよく目にします。
ここ何年かで定着したのが「麻辣火鍋」。「火鍋城」、「火鍋店」などの火鍋専門店の看板料理です。麻辣火鍋の麻辣は辛いの意味、火鍋は鍋物の意味です。麻辣火鍋は、とにかくスープがとてつもなく辛く、しかも脂っこい! 普通に食べても胸焼けしたりお腹を下したり。心臓が弱いとショック状態にもなるほど辛いのです。これでは食べられたものではないということで、「鴛鴦麻辣火鍋」もあるのでご安心を(鴛鴦<オシドリ>:辛いスープと辛くないスープが、真ん中で仕切られている鍋に入っている。両方の味を楽しめる)。
具は、いろんな野菜や練り物の他に、海鮮、牛の胃袋(ハチノス)や腸などの臓物、豚の血を餅米と一緒に固めたものを、注文したりバイキング形式で自分で取ってきたりします。
もしも看板やメニューに「毛肚火鍋」とあれば、牛の胃袋や臓物中心の火鍋です。臓物が苦手の方は気をつけて。
日本の鍋物と違っておもしろいのは、タレ。自分で調合するのですが、調味料は、しょうゆ、酢、ゴマ油、ラー油。この基本アイテムに沙茶醤を加えるのが台湾火鍋のタレの特徴です。あとは香味でネギ、にんにく、ゴマをお好みで入れるだけ。生卵の黄身が辛味を和らげてくれるので、溶いてタレに入れるのが台湾人ですが、心配のある方は入れないのがいいでしょう。
麻辣火鍋の他には、中国北方の羊肉しゃぶしゃぶ(鍋の真ん中に長い煙突がある鍋)、日式しゃぶしゃぶ(カウンターで一人前の鍋をつつく)、タイ式しゃぶしゃぶなどがありますが、冬の人気鍋はやはり麻辣火鍋。辛い辛いと言いながらつつかないことには冬ではないようです。
そうはいっても、夏でも麻辣火鍋を食べる台湾の人たち。大汗をかくから新陳代謝にもってこいだとか。それに食べる時にアツアツでないとだめ、という習慣がある台湾なのですが、夏の麻辣火鍋、私はこればっかりは遠慮させてもらっています。
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