文章:吉田 摩弥(All About「ロンドンで暮らす」旧ガイド)
90年代に人気を博したイギリスのコメディー『ミスター・ビーン(Mr. Bean)』。あれからもう10年……。「あの人は今?」状態のビーンが、とびきり面白い映画になって帰ってきます! 当時を知る人には懐かしく、彼を知らない現代っ子には衝撃的であろう、懐かしの喜劇をドカンと紹介しますよ!
【Index】
『ミスター・ビーン』って?
10周年記念のコンピレーションDVD。 |
TVのコメディー・シリーズ『ミスター・ビーン(Mr. Bean)』が誕生したのは、1990年のイギリス。ITVというチャンネルで、1995年までに18話が放送されました。
ビーンを演じるのは、イギリスを代表するコメディー俳優のローワン・アトキンソン(Rowan Atkinson)。1977年、22歳という若さで才能を見出され、BBCのコメディー番組のレギュラーに。オックスフォード大学大学院で電気工学の修士をおさめたインテリでもあります。
このミスター・ビーン、セリフらしいセリフはほとんどなく、ビーンの表情と動作だけで笑わせるコメディーです。セリフがない分、ビーンの笑いの8割は「体を張ったストレートなギャグ」。自動販売機にお札を入れたら、ネクタイまで一緒に取り込まれてしまって……なんていう、分かりやす~いギャグが満載です! ビーンの豊かな表情とオーバーアクション、そして絶妙の「間」が、マネできそうでマネできない独特の笑いを運んでくれました。アトキンソンのもうひとつの代表作、『ブラックアダー(Blackadder)』が言葉の妙で笑わせるのとは、正反対ですね。
さて。ビーンの職業は、事務員とも美術館職員とも言われていますが、実のところは定かではありません。キッチリとジャケットにネクタイ、といういでたちですが、なんか微妙にヘンなのは……袖とズボンのスソが短いせいでしょうか? 愛車はイギリス人らしくミニクーパー(向こう見ずな運転のせいで、何度か事故で廃車になってます)、そしてティディベアがお友達です。
この愛すべきキャラクターは瞬く間に世界的な人気となり、『ミスター・ビーン』シリーズは200カ国で放送されました。日本ではNHKで放送されていましたね。
そして1997年に公開された映画版『ビーン(Bean ―The Ultimate Disaster Movie)』も、世界で2億4000万ドルの興行収入を記録したヒット作となりました。
ちなみに、アトキンソンと共にミスター・ビーンの生みの親となったのが、オックスフォード大学時代の学友で人気脚本家の、リチャード・カーティス(Richard Curtis)。イギリスのTVコメディー、ドラマを多く手がけていますが、映画の代表作には『ノッティングヒルの恋人(Notting Hill)』(1999年)、『フォー・ウェディングス(Four Wedding s And A Funeral)』(1994年)や、『ラヴ・アクチュアリー(Love Actually)』(2003年)『ブリジット・ジョーンズの日記(Bridget Jones’s Diary)』(2001、2004年)があります。日本の皆さんにもおなじみですね。
>>次のページで、ビーンがこの10年間どうしてたのかを、こっそりご報告しましょう。