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障害のある人と壁をつくらないNYの人々(2ページ目)

日本では、障害のある人へどう対応していくべきかという、小さなころからの教育がおくれているのではないか?

執筆者:溝口 弘恵

車椅子に対応できるバスと乗客

Wheelchair
車椅子が2台同時にバスへ乗り込むこともある
今の日本に必要なのは、障害のある人たちを特別扱いするのではなく、ハンディーはハンディーとして周囲の人たちがカバーした上で、同じ環境にいられるよう配慮していくことではないだろうか。そのために、まず始めるべきことは、NYのように、どんなラッシュの時間でも、車椅子の人がバスに乗りこむときには、乗客は静かに待っているっていう周囲の人たちの心がけ。

以前、盲導犬をつれた、お婆さんが電車にのろうとしていて、「各駅停車なのか?」と、みんなに聞いてまわっていた。私も聞かれたけど、はっきり各駅停車かどうかわからず、「私もよくわからないの」と、あやふやに答えただけだった。聞いてきてあげようかなぁ~などと思ってるうちに、近くのイスに座っていた若い女性が、さっと立ち上がってお婆さんに近づいて声をかけた。「各駅停車のはずよ。アナウンスが流れるから念のため注意して聞いたほうがいいけど」「ありがとう」とお婆さんが動こうとした。すると女性は、「ここがコーナーのイスだけど腰かける?ぶつからないように、気をつけてね」、お婆さんの手をイスの角にあてて誘導してあげた。

さらに盲導犬にも、「とってもいい子ねぇ~、あなたは大人しくて」と、頭をなでて声をかけていた。まるでベテラン介護士のような対応だ。私も彼女みたいに対応したかったのに・・・と、羨望感。こんな風に、周囲の人たちは、障害のある人に対して自然に対応し、壁をつくらないのだ。

車椅子のエリアに停めると罰金

パーキング
車椅子専用のパーキングにはブルーのラインがひいてある
公共の対策としては、アメリカでは、建物の入り口に車椅子専用スロープがあって当然だし、地下鉄の入り口にも車椅子専用がある。スーパーマーケットやデパートの入り口付近には、車椅子専用のパーキング。許可を得てない車が停めると罰金をとられる。そういえば、小さなスーパーマーケットで、車椅子が入れないからと訴えられたりしたこともあった。

いつの日が、年をとっていく自分や家族が車椅子にのって生活しなければならない時がくるかもしれない。障害のある人のために、環境を整えてあげることそれは人のためばかりでなく、自分や家族のためでもあるのだ。

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