自分の歌う場所は自分でつくるジャズボーカリスト
「日本とちがって、NYというかアメリカ人はライブミュージックを好むので、音楽専門の店でなくても、レストランなどで生演奏をやってるところが多いですね。それでも、仕事探しは外国人だから、大変でした。音楽専門でやってるブルーノートのような店では有名な人しかできないですし。アメリカに来たばかりの外国人は、小さな仕事からとっていかないと、歌える機会も少ないんです。それでも歌っていかないと他のミュージシャンと差ができてしまうし、上手くならない。どんな小さなギグでもとろうと苦労してます。そもそも音楽っていうのはラグジュアリーなもので、レストランなどで、常に音楽をやってるところは簡単だけど、やってないところへ音楽を入れるのは、とても難しいです。直接オーナーなり、ブッキングする人に会いにいって値段の交渉をしたり、やりたいことを伝えるんですが、先方もそうそう簡単にはお金を出したがらない。それにバンドがいないところは、バンドも連れていく必要があって。
もともとジャズ自体のマーケティングが少ないのもありますし。ジャズって、ボーカルが入ると音楽の領域が狭くなるから、ミュージシャン同士でもボーカルが入ると、つまらないと思われがちで。だからこそ、常に他のミュージシャンにも一緒に仕事をやってよかったって、興味を持ってもらえるように、日々の音楽的向上や選曲など常に心がけてます。
ピアニストとなど楽器専門にやってるのなら、ミュージシャン間のつながりで仕事が入るけど、ボーカルは演奏の機会を作るためには自らビジネスに強くならなくてはいけない。ミュージシャンもお店もお金にシビアです・・・。『まだ決めてない』とか『いそがしい時間だ』と電話を切られたり、タッチの差で逃したりする。『また今度にして』などと、門前払いもありますよ。
ギャラがでないと一緒に演奏するミュージシャンも雇えない。だからお店と交渉するのですが、音楽は贅沢品なので音楽を入れるかどうかを決断してもらうこと自体が大変。その上、NYでは何事も回転が早いので、せっかく演奏の仕事が取れても、お店の都合で終わってしまう事も多いですし」
そんな歌える場を探すのが大変な状況にもかかわらず、Yukakoさんは、イーストビレッジやミッドタウンやハーレムでも歌った。その経歴あってか一緒にやっているミュージシャンからリファレンスしてもらったり、アーティストとしても収入を提示することで、O-1(アーティストビザ)を取得した。とはいえシンガーの仕事だけでは、生活はできないので、パートタイムの仕事も続けているという。アーティストとはいえ、タフな暮らしなのだ。
後編は、1月15日ごろにアップの予定!お楽しみに。
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