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GAPのベビー服もデザイン! NYで絵本を描く日本人女性~後編(2ページ目)

Gapのベイビー服のプリントデザインやイラストをはじめ、いまや夢だったアメリカの絵本のイラストレーターとなった日本人女性にインタビュー。

執筆者:溝口 弘恵

絵本を描くのには環境も大切

「私が生活で意識しているのは、身近なところにある色。今度オランダに行くんだけど、街の色とかが楽しみです。もし絵本の仕事をするなら、せかっちにならないこと。ゆったりした生活をしていることが不可欠。すさんでいたりすると絵が描けないですよ。

たとえば生活をちゃんとするとか、料理をちゃんとするとか、興味のある人と会ってみるなど、絵を描くことだけに集中しないほうがいいです。毎日デッサンを続けた方がいいなんていう先生もいますが、デッサンばかりしているより、旅行に行って景色を見たり、街に出てショッピングしたりと、なんらかの刺激をうけてる方が、いい絵が描けると思います。

ありきたりですけど、何でもはじめようって思ってる人は、行動力が必要ですね。とりあえずやってみるしかないですよ」

絵本のアーティストというのは、環境にも左右されるらしい。彼女は、絵本の仕事をするようになってしばらくしてからマンハッタンを離れ、今のご主人と共にブルックリンへ引っ越した。それは、ゴミゴミしたマンハッタンよりも絵本のイラストにもプラスになったのだとか。

「今は家で仕事をしているのですが、NYでもブルックリンへ引っ越してきてよかったです。スペースがたくさんあって、絵本づくりの環境が整っているんです。公園もあるし、子供もたくさんいるし、建物が古いし。

私の住んでいるコボルヒルというエリアには、歴史的建造物がたくさんあって、街自体が絵みたいな場所なんですよ。アメリカでしかできない仕事っていうのは、そうした環境にあるものを描けるってことです。トースターなど、ちょっとしたものもアメリカにあるものってデザインが違いますから」
今年出版されたgot to dance
ブルックリンのストリートをモデルに描かれている部分もあるとか

上手くなりすぎたらダメなイラスト?

では最後に、これから絵本を描いていくにあたって目指していることなどありますか?

「マーケットに流されすぎないよう自分らしさを保つのは大変です。これからも私の絵は、なるべくラフに描くことが特徴なので、それを続けていくことです。長年やっていて絵を描くことに慣れると、上手くなってしまってダメなんですよね。下手に見えるように描くっていうのも、なかなか難しいんですよ」

なんにしても自分らしさを保つのは難しいけど、アーティストは特に大変そう。周囲から売れ筋のプレッシャーなどがあるだろうから。

今回は、ヒロエさんにインタビューさせていただいた上、彼女がイラストを描いている絵本を数冊いただいた。ヒロエさんの描くラフな絵は、母が日本から送ってくれたアニメ絵本よりも、うちの長男(19ヶ月)の視覚にうったえたらしく、いつも「読んでくれ!」と持ってくる。

英語の本だから、私が読むと日本語アクセントの英語でいけてない。なのでネイティブスピーカーの夫に読んでもらっている。いただいた本は、私自身もたまに眺めている。大人にとっても、心やすらぐヒロエさんのイラストなのだ。

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