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沖縄の染・織・陶・工芸にアーティストの技を観る 個性を競う沖縄のモノづくり(3ページ目)

卓越した技を持つ沖縄の工芸家たちの作品を紹介いたします。いずれのアーティストもHPを持っていないため県外ではあまり知られておりませんが、機会があれば足を運んでくださいね。

執筆者:鈴木 雅子

「座安木工所」のチャーギ家財に職人の技を知る

チャーギで作ったタンス
座安木工所の座安清勇さんによる和箪笥
座安木工所の手づくりタンスに思わず目を見張りました。隅々にまで職人の手仕事と細やかな神経が行き届いた作品であるのが一目瞭然。家財というよりは、もはや芸術です。同木工所の座安清男さんがチャーギで作った自慢の作品でした。

チャーギの和名は「イヌマキ」です。家の柱、仏壇タンスや座卓など一般家財として使われますが、三線の棹としても使われています。沖縄では、チャーギで作ったものは「上等さ~」と言われる高級素材なんですが、県内産は減りつつあり、主流は奄美大島など県外からの取り寄せです。

座安木工所の手づくり家財
自然の形を生かしたテーブルセット
チャーギは、樹形の美しさとともに、その性質が「堅い」「湿気に強い」「害虫を寄せ付けない」ことから高温多湿な沖縄で昔から愛用されてきました。

ガイド自身は、そうした特質よりもチャーギの持つ木肌の美しさに惹かれました。スーっと流れる感じの杉材とは全く違って、木の目そのものに曲線的な流れを感じます。堅い特質を持ちながらも、柔らかさを感じさせてくれる素材でした。チャーギは、中城村の中村家住宅にも使われています。

【座安木工所】
所在地・沖縄県那覇市字栄原788
電 話・098・857・3354
営業日・電話で確認してください。
MAP・Yahoo!地図情報

藍染なみかわが生み出した赤土の「マージ染め」

藍染なみかわのマージ染め
赤土の染料から生まれたアースカラーの布
不思議な色の布を見つけました。「マージ染め」です。染織家の並河善知さんが生み出したもので、沖縄特有の赤土を染料にした「大地の色」でした。

地域によって大地の色は様々です。私が感じているのは、関西の土は茶色、関東の土は黒っぽい。そして沖縄の土は赤い……。その赤い土が染料になり、これほどキレイな色を生み出すとは驚きです。

沖縄には、赤土汚染という問題があります。赤土が海に流れ込んで海を汚したりサンゴに害を与えるからです。しかし、よく考えると赤土そのものが悪いのではない。開発の名目で土地を荒らしてしまった人間の問題です。

藍染なみかわのマージ染めの作品
並河さんの染め上げた藍染めとマージ染め
並河さんは、海の青と土の赤は感動するほど美しい自然のコントラストだと主張しています。赤土を悪者扱いするのではなくて、我々が自然をおろそかにしていることに気づかなければならない、とのメッセージをマージ染めに託して表現しているのです。

科学染料で染めたものは色が均質化してしまいます。自然素材を染料にすると、自然のなかにあふれる様々な色がミックスされますから、全く同じモノは作り出せないそうです。マージ染めも、発色する色それぞれが個性を持つということです。自然というのは、本当にすごいですよね。

【藍染なみかわ】
所在地・沖縄県玉城村富里96・1
電 話・098・948・2606
営業日・電話で確認してください。
MAP・Yahoo!地図情報
直売所・わしたショップ本店2F


■1ページ
・やちむんカフェ・ゆしびんの漆喰シーサー
・やちむんの新潮流を「さとし陶房」に観る
■2ページ
・吹きガラス体験もできるガラス工房「匠工房」
・貴族のための織物を今に伝える首里織の「草木家」
■3ページ
・座安木工所のチャーギ家財に職人の技を知る
・藍染なみかわが生み出した赤土の「マージ染め」
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