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「ミッドナイト・チェックイン」の愉しみ

仕事帰りの深夜に出かける温泉行。大人の夜を演出する意外な旅のスタイルを覚えてみませんか。東北から九州までの宿をご紹介。

井門 隆夫

執筆者:井門 隆夫

旅館ガイド

大人の粋な息抜きスタイル

ミッドナイト・チェックイン
温泉は計画的に平日に。夜待ち合わせてから出かける温泉。大人の粋な温泉の泊まり方。

宿あそび」が作られた理由には二つあります。
ひとつは、旅館の平日の価値をもっと広めたいという点。
もうひとつは、あまりにコモディティ化して「単純一泊二食」しか流通していない市場に、昔の粋な人はこういう泊まり方もしていたのだよ、旅館ではこういうわがままもできるのですよ、というノウハウをもう一度世に復活させることの二点です。そうした背景をもとに、旅館業界団体の国際観光旅館連盟が主体となり、観光庁の支援を得てこのサイトができました。
ミッドナイト・チェックイン」は、「仕事を終え、軽く一杯やった後に、温泉にしけ込む」という計画的な平日あそび。このくらいの悪知恵を働かせつつ息抜きして生きないと、今の世の中で生き抜けません。特に30~40歳代あたりを見ていると、倒れるのではないか、と思ってしまうほど真面目に働いていらっしゃいます。ぜひ、たまには平日の温泉で息抜きをしませんか。
もちろん、そういう方々も「パッケージ化された一泊二食の宿泊プラン」をネットで探し、土・日を潰して温泉に行かれているのかもしれません。でもね、家族旅行なら週末でも仕方ありませんが、友人同士・仲間同士の場合は、平日に一日休みを取って、もしくは「有給休暇を使わず目立たずに」金曜の夜に行くのが粋な温泉の泊まり方ってものでございます。最近では、平日休の方も増えていますから、もっと平日の宿泊が活性化しなくてはおかしいと思っているところでした。
活性化しない理由に、そういうあそび方をご存じないという背景はもとより、「仕事終わってから行くっていっても、夕食時間に間に合わない」という事情がありました。「夕食はどんなに遅くとも20時までに始めてください」って旅館の都合は、そりゃ日々の残業も多い皆さんには非現実的ってものでしょう。それは無理です。
そこで、「ミッドナイト・チェックイン」では、「夕食は翌日まわし」にしました。この部分を「理解していただけない旅館」が多かったのも事実です。「そんなの旅館じゃない」とも言われました。「それでは足かけ二日間客室を使ってしまう」のが理由ですが、むしろ客室稼働率が業界年平均値の70%を超えているような旅館でも参加してくれていますので、旅館のあり方が固定観念化されていることのほうが問題なのかと思います。
さて、チェックインは21時からですから、職場の近くで食事して来てください。そして、深夜のチェックイン。翌日は朝食が付きますし、なかには昼食に換えられる宿もあります。私なんか、朝食権利放棄して昼まで寝ているということも。ホテルでやる「ドンディス」(Don’t Disturbカードをドアサインとして外ノブにかける)です。本来なら朝食抜きを標準にしようかと思ったのですが、結構、お腹空いて起きてしまうこともあるので、朝食は付けました。ただ、権利放棄は自由ですよ(旅館の「朝食まだ?」のコールはしないようお願いしておくとよいかもしれませんね)。旅館でもドンディスカードは必須の時代かと思います。
日中は、昼前後は温泉大浴場の清掃があることもあり、町歩きにでかけましょう。14時頃にはまた温泉が満たされていますから、一番風呂に入るのもよし。お楽しみの夕食をいただいてからチェックアウト。
平日に一日休みを取るだけで温泉に行ける「ミッドナイト・チェックイン」。
次ページでは、参加している旅館を概説いたしましょう!
全国から、改革意思レベルの高い旅館さんが集まりました。
実はこの企画は、観光庁の実証実験事業。まだ参加旅館は多くありませんが、皆様の利用が次の新たな改革につながっていきます。ぜひ、この冬(2月15日まで)、一度は「ミッドナイトの逃避行」をお愉しみください!
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