レセプションやレストランは小さい。客室主体の絵になっている。 |
竹富島憲章にのっとり、「島の文化を守る」ために、「適正規模の産業と人口」を構築し、環境負荷を極力かけないエネルギーの循環・自給を施すとのこと。星野リゾートは国内のリゾート運営者の中でも持続可能なリゾートに関する実績のある会社ですので、竹富島が選んだ選択肢のなかでは、おそらくベターチョイスだったのではないでしょうか。
この計画が実行されれば、常時80~100名のプチリッチ客と、ほぼ同人数の寮住まいの従業員が島に増えることとなり、人口330人の島は一気に活性化することでしょう。従業員に対しては、住民票も島に移し、地元の祭りにも参加したり、地元で結婚する若者も出てくることが期待されると思います。そうなると、環境を維持しつつ、島の産業・文化を活性化する、新しいリゾートモデルが誕生するかもしれません。
しかし・・・
竹富島は、これまで観光客の多くが日帰り客であり、宿泊客は小さな民宿に泊まる「竹富島ファン」に限られていました。そこへ、リゾート客が入ってきます。当然、竹富島憲章を知らない客も来るかもしれません。金を振りかざして権利を主張するマナーの悪い客が多少でも増えれば一気にリゾートの評判は落ち、それ見たことかと後ろ指を指されるリスクが高いことには変わりありません。竹富島の住民やファンの皆さんはそれを一番恐れていると思います。
軽井沢に比べ、島ゆえのインフラの問題もあります。竹富島は海底送水なので水の確保はまだ容易なものの、下水排水やゴミ処理をどうするかも問題です。おそらく生ゴミの堆肥化などは検討項目に入っているでしょうが、利用者にも環境への配慮を求めなくてはと思います。
あるいは、他の沖縄のリゾート同様、従業員の確保をどうするかが最難問のような気がします。
どんなに文化や環境に配慮した計画を作っても、結局、評価を決するのは完成後にやってくる「人(利用客や従業員)」。八重山や沖縄のやんばる、奄美群島など「琉球弧」が世界遺産を目指そうとするなか、自然・文化・住民・景観への配慮のないファッションリゾートばかりでは、国際級のお客様や良い従業員には恵まれません。
いかに島と「共生」するかが成功の鍵。やるなら徹底的に環境・文化に配慮し、利用客を限定した「竹富島モデル」を造ってもらいたいと願っています。
開業は2010年。2年後を楽しみにしていたいと思います。