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森のご馳走、ジビエを味わえる宿。

晩秋から冬の間、山ではジビエが旬。食通は森のご馳走を味わいに宿に行く。

井門 隆夫

執筆者:井門 隆夫

旅館ガイド

秘湯の宿でもジビエを堪能。

ジビエ料理
ジビエは、街のレストランで食べるより、産地直行に限る。

晩秋、11月15日。
ボジョレーヌーボーだ、日本海のずわいがにだ、新そばだ、と賑わう各地を横目に、「とあるグルメ垂涎の食材」が、この日、日本でも解禁となる。
それは、「ジビエ」。
森の生態系が崩れたり、繁殖のメカニズムが狂ってきたせいだろうか、日本各地で鹿や猪による農作物被害が広がっているという。
それならば、わずかな森の恵みにあずかろうと、「狩猟解禁」となるこの日から3月までの冬の間、食通家たちは信州へ、北海道へ、丹波へと足を運ぶ。
街でもジビエを食べさせるレストランが増えてきた。鹿、猪、鴨、という日本人にも馴染みのある鳥獣にくわえ、野うさぎ、キジ、うずら、シギといったレアものも市場に出回っている。しかし、ポイントは、鮮度である。せっかくのジビエだ。冷凍輸入品ではなく、旬の国産をいただきたい。ぜいたくだが、できれば野生のジビエが一番。それには、冬の間「産地直行」に限る。

山塩館の鹿料理(ランチ)。
秘湯の宿でも、ランチで鹿料理を出してくれる(山塩館)。
フレンチでは馴染み深いジビエは、かつて日本でも「薬食い」、つまり滋養強壮食として重宝されてきた。その苦味とクセは、一頭ずつで違い「調理が難しい」のも市場に出回らない理由のひとつだ。その肉は、濃いソースに、渋みと酸味の効いたワインが似合う。
近年、長野県では「信州ジビエ」をブランド化する動きが高まっている。
南アルプスの山懐、ゼロ磁場のパワースポットとして有名になった分杭峠のある「大鹿村」では、村の名のとおり、鹿が多く、村中の宿や食堂で「鹿料理」を提供している。例えば、山中に強塩泉が湧く秘湯、鹿塩温泉「山塩館」では、冬の定番の「しし鍋」の夕食に加え、ランチでは「鹿肉の煮込み」など鹿料理を提供してくれる。
猪肉を使った「しし鍋」は、別名「ぼたん鍋」とも言う。それは、薄切りにした肉を大皿にぼたんの花びらのように美しく盛ることから名がついた。「ぼたん鍋」なら・・・。
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