地域活性化の方程式を教えてくれた中山さん
日間賀島のタコ!日間賀観光ホテルの夕食で。ハサミで切ってあつあつを食べる。 |
「観光カリスマ」のうち、私が今回お訪ねしたのは、知多半島の先に浮かぶ小さな日間賀島で日間賀観光ホテルを経営する中山勝比古さん。
日間賀島は、「タコ」と「ふぐ」で、通年を通してお客様を呼ぶ島として有名です。かつてその「地産地消」の音頭取りをしたのが、中山さん。現在も「今度はイカで島を売りますよ」と、まだまだゲンキいっぱいです。
通常、島というと、海水浴の時期だけ繁盛し、あとは釣り客が訪れるだけ、というのが典型・・・。新鮮な魚介類を水揚げしても、そのまま大消費地の市場に流れてしまうからです。それは、地元には冷凍保存や加工技術がなかったり、大市場のほうが高く売れるからに他なりません。
ところが、日間賀島の場合、漁協と民宿・旅館がタッグを組んで、新鮮な魚介を産地に流してくれているのです。それは、一足早く経済環境に危機感を覚えた民宿・旅館側が「漁師のために何ができる」を合言葉に、設備投資資金を漁協から借りたり、宿を漁師の家族の職場として提供してきた成果。そのお返しとばかり、漁師さんも「観光で潤えば自分たちも生き残れる」と考え、漁協が海水浴場を整備したり、地産地消を推進してきたのです。
その結果、島に一体感が芽生え、中学生が島に誇りを持つようになり、六割の若者が島に残りたいと考え、観光・漁業の両青年部が共同で事業家やインストラクター育成を始めるようになるという、好循環が生まれるようになりました。
「人づくりが全て」と言い切る中山さんは、常に「島が良くなれば自分も良くなる」という「共生」の意識を持ち続け、「リーダーは感情を押し殺し」て「生き残りのシステムを作る」ことで、日間賀島をオンリーワンの島に作り上げたのです。
中山さんが、島の活性化を描いた際の、最初の一歩は、「危機感」。どうすれば島が良くなるか「仮説」を立て、多少の反対者がいようと、想いが同じ者でそれを「実践」し、「実証」することで、周囲を巻き込んでいきました。少なくともこの「仮説+実践=実証」の方程式は、多くの観光カリスマが採っている手法のように思われます。
島の人たちは、実践の過程では「尊徳」で動くように心がけ、それでも「損得」しか頭にない人に対しては「島八分」の危機を与え、理解を促してきたのです。
どうしても「そこにずっと住んでいく」者にとって、地域の人間関係に手と口を出すには勇気がいること。それを乗り越えた時、地域に好循環が生まれます。観光とは、「地域活性化の一枚の切り札」ということを中山さんは実証して見せたのです。
日間賀観光ホテルの客室(Bタイプ)。宿の目の前は、海。篠島と、渥美半島や志摩半島を遠望する。 |
売店を見ていても、漁醤や干物の売れること、売れること。まるで、日間賀島のアンテナショップになっているようでした。海に面した客室からは朝日と夕陽の両方を一望できる、素晴らしい眺望。改装された部屋も増え、一年を通じて人気があるのがよくわかりました。
料金も、「お部屋タイプごとの一泊朝食料金」+「お料理ごとの夕食料金」を組み合わせて決める仕組み。曖昧な一泊二食を廃して、利用者に優しい仕組みを採っています。
皆さんも、ぜひ一度、観光カリスマのいる日間賀島へ!
日間賀観光ホテル
〒470-3504 愛知県知多郡南知多町日間賀島
TEL 0569-68-2211
一泊二食(2名一室のとき)一名様14,700円~
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