夜中に着いて、月夜の温泉

星のや軽井沢
キューブが送ってくれた「水波の部屋」。一棟、独立した5室から成っている。
東京駅を19時過ぎに発ったあさま545号が、軽井沢に着いたのが20時11分。そこには、昼間の賑わいはなく、イルミネーションが静かに煌いているだけ・・・。
仕事を片付け、夫婦で待ち合わせて、小さなボストンバッグひとつでやってきた夜の軽井沢。ふつうの温泉地なら、早い夕食を終え、退屈な時間を過ごしている頃かもしれません。

タクシーに「星のやレセプション」と告げて走ること15分。「三井の森」の林を抜け、ほのかにロビーの灯りが窓から漏れる、小さな「家」に着きました。ここが、時間の旅の入口です。
今晩の住まいの「谷の集落」はもう少し先。このレセプションには、到着時の一度だけお世話になります。小川から漂ってくる冷気のなかで深呼吸しているうちに、ひとりひとりの鍵と滞在着(作務衣か浴衣かを選ぶ)が用意され、黒塗りのキューブが迎えに来てくれます。
レセプションに長居は無用。キューブに乗り、案内を受けながら「落ち葉が踊る路」を抜け、星野温泉「トンボの湯」の前を通り、宿泊者専用の塀をくぐり、月夜に点々と灯りが浮かぶ「星のや軽井沢」に向かいます。
星のや軽井沢
星のや「集落」から、トンボの湯、村民食堂へ。灯りを頼りに月夜の散歩。
キューブで到着した、今回の旅の住まいは、浅間の伏流水が流れる川面の「水波の部屋」タイプ。客室のディテールは、林に面した「山路地の部屋」タイプに泊まられた、菅野さんがご案内していますのでご覧ください。
早速、209号室に用意されていたCDをかけてみると。
村治佳織のアコースティックギター。初めて聴くけど、なにか懐かしい。この部屋の思い出に、後日一枚購入して家でも愉しんでいます。
それでもまだ、21時。時をすべて思い出にするには早過ぎる時間。
22時(1・2月は21時)がラストオーダーと聞いた「村民食堂」まで、夜の散歩に出かけましょう。

フリース地のざっくりした半纏を羽織り、闇夜の灯りを頼りに歩くこと5分。カジュアルなレストラン「村民食堂」と、その入り口にあるカフェ・バー「ハングリースポット」に到着。ここでは、この谷あいで唯一のテレビが、BSニュースを放送しています。
村民食堂のおすすめは数量限定「豆乳しゃぶしゃぶ」。肉の旨みがたっぷり浸み込んだ豆乳ベースの雑炊は絶品!です。ぜひ、ご賞味あれ。
村民食堂は、分煙式。窓際の広い禁煙スペースでは、別荘に遊びに来ているのでしょう、VOLVOに乗ってきたファミリーが楽しそうに団欒中。こんな家族は、ひとつの理想像だなあ、と羨んでみたりして。すぐ隣は、トンボの湯なので、村民食堂は、別荘族にとってもちょうど良いナイトスポットなのです。
夫婦で盛り上がって、気付いたら23時前。鍋で温まったカラダを冷まさないうちにと、温泉へ。トンボの湯は22時までなので明日にとっておいて、星のや「集落」に戻り、手ぶらで「メディテイション・バス」へ。
この温泉は、わたしが“あったらいいな”と思い描いていた温泉像を実現したものでした。その温泉とは、次ページで。