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坐禅・写経・コンサートまで 「宿坊」に泊まる

宿坊は、自分をみつめ、心を癒す、現代人に格好の宿。まずは、ガイドが泊まってきました。

井門 隆夫

執筆者:井門 隆夫

旅館ガイド

埼玉の宿坊で座禅体験

坐禅
副住職による坐禅風景。警策には励ましの意味がある。
西武新宿線飯能駅からバスに揺られること、約60分。渓谷を辿った一番奥の村落に、曹洞宗福王山「正覚寺」はあります。
今回は、身近な首都圏に座禅・写経のできる禅寺の宿坊があるからというので行ってみました。
本堂脇の事務所にて手続きを済ませ、早速本堂に。日帰りで座禅をしに来る方もいるようです。
宿泊については、「最初の申し込みが個人の男性だったので、宿泊は男性のみ」だそうで、それも一日2~3組まで。こじんまりとした滞在です。あと、酒・タバコはご法度ですのでご注意ください。
学校や企業の合宿も受けるそうですが、その際は、本堂は男性、別棟を女性のように分けるとのこと。住職は優しいけど、禅寺なので規律には厳しいです。

本堂の隅に荷を置き、日帰り座禅の方々と談笑するうち、15時半から座禅。ビデオで作法説明のあと、住職の手ほどきで半跏趺坐を組み、止静鐘の音とともに、座禅開始です。
40分のうち最初の20分は、周囲が多少気になるし、足はしびれ、汗はぼたぼた。まるで、心頭滅却できていません。いつ「励まし」のしるしである警策(きょうさく)を打たれるのか、どきどきしていました。
が、後半20分には汗も引き(この日は摂氏34度であった)、半ばあきらめの境地(私にとっては「無」に近い)に・・・。草いきれ、虫の音、鳥の羽ばたきが懐かしく感じられるひと時になりました。
写経
静かに般若心経を写経する。心を込めて書くことが大事。
無事、座禅も終了し、18時に宿泊者だけの薬石(夕食)。箸袋に記された「五観の偈」を唱えてから、沈黙していただきます。
精進料理なので、一切殺生はしていないのに、トンカツが??。後で聞くと、山芋をつなぎに使い「麩を揚げたもの」とかで、美味。
沢庵は一枚最後まで残しておきます。全て食べ終わったら食器に湯を注ぎ、沢庵できれい「洗う」のです。お湯を順々に食器に注ぎなおし、洗い、最後に湯を飲み、沢庵を静かに噛み、食器を重ねて、食事終了。
本堂を襖で仕切ると小さな個室ができ、そこがお部屋。19時の開浴(お風呂)の後、21時には開枕(就寝)です。

5時に起床の後、仏前で正座し勤行。続いて、朝の座禅を40分。
小食(朝食)をいただき、本堂の作務(掃除)。
8時半からは、般若心経を唱えてから「写経」が始まります。一字一句、下に敷いた手本を写すこと小一時間。最後に、祈願がある方は願いを書き、仏前に供えて終了。
一度体験すれば、作法にも自信がつきます。10時に寺を後にするときには、やり遂げた充実感がありました。
ご住職に聞くと、30代女性の1~2人旅が多いとのこと。個室にしても、朝には「皆かたまって寝ていた」こともあるとかで、自己をみつめに来る方々の思いは、お互い語り尽くせないものなのでしょうね。
さて、名栗渓谷の爽やかな風を後に、次なる目的地高野山に向かいました。
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