旅館編

ノーショウ
無断不泊のこと。No Showとも書く。
客室に空気を泊めても一円にもならず、食事を仕入れ、準備していた旅館にとって、当日取消しのダメージは大きい。それが、連絡無しとなれば、夜遅くまで心配し、フロントに人を残しておくなど、対応のためのコストもばかにならない。
そのため、ノーショウは最も旅館が恐れるもののひとつ。ネット予約など消費者への直接販売が増えず、旅行業に頼る理由のひとつは、ノーショウ防止の意味もある。不倫の客だろうが、折り返し職場に予約確認の電話をしてしまう旅館が多いのも、このノーショウで痛い目にあった反動である。ノーショウは、実は、業界内では社会問題となっており、旅館にとってノーショウ客は、逮捕して欲しい、くらいに思っている。
オバケ
ノーショウの逆。ゴーショウ、Go Show、ユーレイとも呼ぶ。
予約が入っていないのに、予約したといって訪ねてくる客のこと。予約通知がフロントに流される前に到着するという場合もあるが、旅館名が似ていることで、間違ってくる方も多い。○○ホテル、本家○○、○○別館、など、ややこしいせいもある。
夜、窓の外を歩いていたり、金縛りにあわせてくれるのとは、別のものである。
トクビ
特日。特別の日のこと。類似語=旗日(ハタビ)=祝日のこと。
そーれ、稼げ、埋めろ、高く売れ、という日。一年のうち、一割くらいしかないが、この日に予約は集中する。ノーショウやオバケが出るのもこの日が多い。
トクビになると料金が上がり、平日になると下がるので、「客の足元をみた商売」と思われることも多い。旅館側からすると「トクビの料金が通常料金で、平日が割引料金」と主張したいのだが、そう思われないのは、努力不足以外の何ものでもない。
コマ
小間客。細かい客。個人客のこと。
団体(タマ)が入らないので、コマで埋める。というように使う。もう二度と戻ることのない“古きよき時代”を知る営業マンがよく使う。確かに団体と違って、効率は悪いし、心付けは置かないし、冷蔵庫のドリンクは飲まないし、コマを嫌っている旅館も少なくない。
しかし、そういう旅館こそ、時代錯誤甚だしく、取り残された存在であることを知らない。女性のコマ客に向かって、ぞろりと女将・仲居が並んでいらっしゃいませ、とやる旅館はその典型かもしれない。コマったものである。