【3時限目】旅館のコスト構造に思う
パチンコ・パチスロ屋がどんと店を構える温泉旅館街。
ああ、大変だろうなあ、と思います。大型旅館で、かつ客室に食事を運ぶ「部屋出し」のため、調理師や仲居さんの数が膨大になるタイプの旅館が多いのでしょう。自力営業では客室を埋められないため、旅行代理店に依存。しかし、代理店は、お客様の希望の多い「部屋出し」を求めつつも単価をどんどん下げるので売上は減少。しかし、手間は変えられないので人件費抑制のために給与を削減。調理師さん、仲居さんは、減らされた給与を少しでも取り戻し、かつ毎日の超多忙の憂さ晴らしにと、日中の中休みにパチンコに足を運ぶという構造です。少し「部屋出し」の価値や料金を、旅館は訴え、利用者も理解する時代になっているようにも思えるのですが・・・。
潰れたパチンコ屋が軒を連ねる温泉旅館街。
おお、変わっているのだな。という感想。「部屋出し」というのは、ホテルで全室ルームサービスを無料でやるのと同じ。ものすごく人件費がかかります。そのため、しっかり部屋出しサービスのできる料金をいただけるよう自力営業に変え、接客サービスもしっかり行うか、部屋出しをやめるか、どちらかにひとつ。現在は、いまさら価値を言うことができず、部屋出しをやめるほうが多くなっています。「温かいものを温かくお出しするためにお食事処で食事やバイキング」、「お客様のプライバシーのためお部屋に立ち入らない接客」、いずれも人件費抑制のため人手を減らした結果。そのため、温泉街から働く人が減少。パチンコ屋も逃げ出してしまうという構造です。
旅館のコスト構造で、大きいのは「人件費」「食材原価」「光熱費」「代理店手数料」「金利」。それぞれ「部屋出しの廃止」「地場の食材から輸入品へ」「客室毎の冷暖房化」「ネット予約の強化」「ローンの条件変更」などで、どしどしコスト削減しています。
しかし一方、旅館がラブホテル化しているようで少し残念な面もあります。「人となるべく出会わないほうがいい」「冷凍ものでもエビ・カニのほうがいい」。もちろん「プライバシーのないご都合主義の接客」「高いばかりの地元郷土料理」がいいとは申しません。でも「社会と交わるのが面倒で」「旬も郷土性もわからない食生活」がそうさせているとも思えるのです。かえって、「個室化するだけでお金が取れる」と考える低品質高額ラブ旅館がどしどし生まれてくるのではないかと(実際その傾向がありあり)心配です。もちろん、個室化するけれど、しっかり旬のものを出す「デザイナーズ旅館」というカテゴリーも生まれていますけどね。
コスト構造の変化による接客スタイルの変化。ただ今、その真っ最中です。
でも、どの宿が「部屋出し」で、どういう接客スタイルで、食材はどんなものを使っているのか、情報がまったくないのが現状。そのため利用者は安いものを選んでリスク回避しているという事情も、早く旅館の方にはわかってもらいたいですね。
旅館の情報開示。これが現代で最も必要なものなのです。

さて、いよいよ次は第3講座
旅館のこれからを想像してみましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。