京都の「片泊まりの宿」が注目を浴びています。
東山界隈の町家や草庵などの小さな宿で、夕食は出さず、低廉な価格で泊まれるB&Bスタイルの宿を「片泊まりの宿」といいます。

そのうちの一軒。京都でも、もっとも「気楽に泊まれる」宿であろう、円山公園「吉水」に泊まってきました。至れり尽くせりのサービスを求める方には向かないと思います。でも、京都の自然に触れ、多少不便でも京都らしさを体感したい方には、そっと教えてあげたい秘密の穴場宿です。

京都・祇園の東に広がる円山公園は枝垂桜で有名ですが、この地は元は名刹安養寺の境内で、通称、吉水と呼びました。お寺の境内だったため、子院の弁天堂や、寺の流れをくむ名料亭「左阿弥」や「東観荘」など木造の建物が、広い公園の林の中に散在しています。

その公園の一番奥、安養寺の境内に隣接し、三方を深い森に囲まれた地にお宿「吉水」はあります。時にはフクロウが鳴き、知恩院の鐘の音が静かに響いてくる、まさしく京都の自然の真っ只中というロケーションです。

チェックインは午後3時。
明るいスタッフの方に迎えられ、案内されるお部屋は1階、2階に大小12室。ほとんどのお部屋にトイレと洗面所は付いています。
100年以上の歴史をもつ木造家屋ですので、天井もそう高くなく狭い感じで、床もぎしぎしいいますが、それはそれで古きよき京都の趣として受け止めましょう。

女将の中川誼美さんは、もともと京都大好きの東京人。四年前、好きな京都に別荘をと、この宿を買い受けます。しかし、円山公園の中で住む限りはなんらか営業することが必要でした。そこで、自らの旅体験をもとに「自宅感覚で寛げる」宿として「吉水」を開業。これまでに、欧米のアーティストや、京都の有名な能役者、もちろん旅好きの常連さんなど多くの方に支えられ、今に至っています。