最近、日経大人のOFF、大人の週末(週刊現代別冊)、Men's EXなど、明らかに30~40代男性をターゲットにして湯宿を特集する雑誌が増えている。そこには確かに大人が訪れるに相応しい落ち着きのある名旅館が並んでいて、頷ける。
しかし、まだ何か現実味が不足しているように思えてならない。
それは、正直言って、今は「時間」と「金」の余裕がない、という現実が忘れられていることだ。もちろん、どんな忙しい生活の中にも余裕を生み出せない男なら本当の大人とは言えないのはわかっている。
しかし、現実は現実だ。
とはいえ、下手すりゃ海外まで飛べるだけの費用をはたき、土・日をつぶして家族連れの渋滞の中を団体客の待つ温泉宿に行くのか?
あるいは、10代のカップルばかりの高原の格安温泉宿で貸切露天風呂の順番待ちをするのか?
30代になったら、やっぱりちょっと違う。
そこで、だ。金曜夜に名旅館に泊まりに行くスタイルを提案したい。
京都では「片泊まり」とも、“Bed&Breakfast(B&B)”とも呼ぶが、いわゆる一泊朝食式で泊まるのだ。こういうスタイルがまだ温泉宿に馴染んでいないので、相応しい呼び名がないのは仕方ないが、温泉フライデーとでもしておこう(何かダサいが許してくれ)。
金曜日、仕事がすべて終わったら出発だ。
夕食は近場で済ませておいて欲しい。新幹線で行くなら駅弁なんていう手もある。
もちろん、愛車で高速を飛ばしたっていい。この時間なら空いているはずだ。
チェックインはおそらく22時頃になるのだろう。
遅くなる旨は必ず事前に伝えておく。
この時間なら、ナイトフロントの男性が案内するものだが、もし女将や女性の係りが残って案内してくれたらチップを渡しておこう。3千円でいいと思う。
さて、勝手なシナリオを語っても仕方ない。
早速、東西おすすめの二軒を紹介しよう。残念ながら、こうしたスタイルに気づいて夕食不要の料金設定をしている宿はまだ少ないのが現実だ。女性向けのエステを充実させるのももちろん重要だが、これから、どしどし「温フラ」宿(確かにダサいネーミングだ)が出てくるのを期待していたい。
もちろん、金曜日でなくとも、月~木のウイークデイでも良い。