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名残の冬の味覚 きちじ(喜知次)と手長エビの饗宴

石巻港のきちじ(キンキ)と焼津港の手長エビ。実は今の時期は魚貝類が春の産卵前でとっても美味しい季節でもあります。アウトドアでも秀逸の素材です。

執筆者:萩原 章史



■冬の名残の味覚
この冬はとても寒いです。暦の上では春なのに、まだまだ実感できません。こんなに寒いと、食材に対する好みも冬のまんまです。実は今の時期は魚貝類が春の産卵前でとっても美味しい季節でもあります。

名残の冬の味覚。
先ずはきちじ(キンキ)です。産卵間近のきちじは肝が大きく脂の乗りも上々です。 『きちじ』 という呼び名は主に宮城県で使われ、北海道や岩手ではキンキと呼ばれます。同じ魚ですが、今回は東京から最も近い場所でキンキが獲れる石巻港のきちじ(喜知次)を取上げます。

家庭ではきちじを煮物で食べることが多いと思いますが、たっぷりと時間がある週末の料理は、軽く干して食べるのが最高です。先ずは焼けた身を食べ、次に頭や骨をもう一度じっくりと炙ってから、骨酒かスープを堪能します。きちじが届いてから、食べ終わるまでにタップリと5~6時間のストーリーを楽しめます。

■きちじの調理の仕方
石巻のきちじは常磐沖の500mを超える深海で獲れます。

先ずは背びれのとげに注意しながら、鱗とぬめりを取ります。続いてえらの付け根を包丁できり、胃袋ごとえらを引き出します。この時に肝はきちじの中に残るはずです。次に肝を傷つけないようにお腹に包丁をいれます。




肝を取り出してから、血合い部分をよく水で洗います。布巾やペーパータオルで水気をよく取り、腹開きにして濃い目の塩水に一時間ほどつけてから、日陰で風干しにします。

今回は篭で干しましたが、外で干せない方は、自宅の台所のフードにぶら下げて干しても良いです。その際は水分が落ちてガス台を汚さないように、尾びれにペーパータオルを巻くのがコツです。干し加減は軽めが美味しいです。時間にして2時間です。



いよいよ焼きです。出来れば炭火がベストですが、ガスでもOKです。ガス台のグリルの場合は上火なので、十分に熱くしたグリルに身側を上にして焼きます。下火の場合は皮目を先に香ばしく焼き、ひっくり返して身がちょっとこげる位が良いです。

きちじは脂が非常に多いので、けむりがたくさん出ますので、魚焼きの網で焼く場合はけむり対策が必要です。脂が強い魚は直ぐに火が通りますので、けっして焼きすぎないものポイントです。



焼きあがったら、ジューシーな身を先ずは頂きます。ここで骨や頭を食べたい願望にかられますが、我慢して残し、再度、火で香ばしく炙ります。焼けたアラをどんぶりに入れて、熱々のお湯をかけて少し蒸らし、お好みで醤油や塩で味をつけ、ネギや三つ葉を入れると、美味しいスープになります。お湯の代わりに日本酒を入れれば、最高な骨酒になります。私的にはこちらをお薦めします。

※ 一緒に写っているのは同じ石巻港に揚がったドンコとマスです。
※ あまった肝は同量のお酒とお醤油にちょっと味醂を加えたもので、2~3分煮ると最高の酒肴になります。

さて次は、手長エビです>>
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