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歯ごたえ十分の地鶏の鍋を食す 壱岐の郷土鍋 地鶏のひきとおし(2ページ目)

冬といえば鍋です。全国各地に様々な伝統的鍋がありますが、メジャーな鍋は食べ飽きたという方に、ちょっと変わった鳥なべをご紹介します。

執筆者:萩原 章史

■鳥鍋を食す■
さて実際の食べ方ですが、先ずは土鍋に同封のだしをはります。この時点で味を見ますと、『うーん 甘い』と感じます。『大丈夫かな? どうも九州は甘いからな・・・』と心につぶやきながら、火にかけます。

沸騰したところで先ずは地鶏のお肉ともつ・キンカン(卵)・つくねをいれて暫く炊き込みます。浮いてくるアクは取りますが、それほど神経質になる必要はありません。と言うのはアクを取りすぎると同時に鶏の脂分などのうまみも取ってしまうからです。それと、肉やもつ類は必ず沸騰している場所に入れて下さい。一度に『どばっ』と入れるような横着は厳禁です。汁がにごりますし、生臭さがでる可能性があります。

肉類を入れてから再沸騰してアクを取ったら、食べる分だけ事前に切り分けた野菜と豆腐を入れます。

野菜と豆腐は鍋に入れる前にそのままで味見をしてみて下さい。野菜は完全無農薬ですから、神経質に洗う必要はありません。味がけっこう濃いですよ、この野菜たちは。平山旅館の女将さんに伺ったところ、極力自家菜園の野菜で賄いますが、足りない分は壱岐農協の婦人部の方々が作っている無農薬野菜を使用しているとのこと。どおりで味が有るはずです。

次は豆腐ですが、これは沖縄の島豆腐の風貌に似ていると思い、このことも女将さんに聞いたところ、豆腐は18cm×18cm大の大型サイズで潮豆腐と言うそうです。想像どおり海水を入れて固める製法で、とっても重厚な豆腐です。これ鍋にはピッタリです。

鍋のお味ですが、最初に汁だけ味見したときは甘いと感じて、水で薄めようかと思うくらいですが、ところが色々な材料とのハーモニーでこれがちょうどよい加減になっているではないですか。そして肝心の地鶏ですが、その食感といい旨味といい、しっかりとしていて、銘柄地鶏に負けない秀逸です。次回は、丸まるの鶏を取寄せたいくらいです。また、少し長めに煮込んだ豆腐は、すが入るような柔なものではないので、これまた出汁の旨味と甘みを吸い込んで良い感じです。

仕上げには雑炊がよいですね。とき卵にたっぷりの刻みネギをいれて食せば、完璧です。
この鍋は鍋奉行不要の手軽なメニューです。煮込みすぎた素材も美味しいですし、煮えばなの固めの素材はそれでまた美味しいです。


■鴨鍋のセット■
ちょっと上級者向けですが、同じ平山旅館の天然鴨の渡り鴨、島鍋セットは更に素晴らしいです。ちょっとお値段が張りますが、天然ものの鴨、それも適度に太った鴨は、脂の旨味と血液の力が満ち満ちた赤身の濃厚さに感動できます。



鴨の胸肉を刺身で召し上がると、これはもう野生の力そのものです。周りの脂のうまさと胸肉の血の味が口の中で一体となる、衝撃のおいしさです。こちらは刺身で最初の感動が、鍋で2度目の感動が味わえます。鉄砲で撃ったものですから、散弾が入っているかもしれませんので、十分にご注意ください。私は食べながら2個の玉を発見しました。

こんな素晴らしい食材は平山旅館の女将さんが責任をもって作っている逸品です。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※衛生面および保存状態に起因して食中毒や体調不良を引き起こす場合があります。必ず清潔な状態で、正しい方法で行い、なるべく早めにお召し上がりください。また、持ち運びの際は保存方法に注意してください。

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