“手作り”料理の境界線
7月12日朝日新聞で面白い記事を見つけました。
「市販のタレで作った肉じゃがは手作り料理なのか?」
朝日が6月に行った全国世論調査によれば、市販のタレで作った肉じゃがを、手作りとみる人は42%、手作りじゃないとみる人が52%だったそうです。
市販のタレの普及率がすごいです。ネットのレシピの中にも「市販タレを使って」というのがとても多いです。それに、市販タレは確実に美味しくなりました。その味にはもう、昔のタレの面影はありません。
昔っからあったのですよ市販タレ、或いはツユ。でも、かなり不味かったです。子供の頃に食べさせられたのが原因で、私は長い間ソーメンやザル蕎麦が嫌いでした。世の中に、こんな不味いものは他にない、とさえ思っておりました。ソーメンやザル蕎麦の美味しさが分かるようになったのは、自分でタレを作れるようになってからのことです。
外でも、ザル蕎麦を頼んだことがなくて。なので、告白しますが、私大石は、お店でザル蕎麦を食べた事は、生まれてこの方、一度もございません。市販の麺つゆは私にとって天敵でありました。
夫の実家の年越し蕎麦のツユ作りは、長い事、私の役目でした。嫁になった最初の正月に作ってあげたら(当然!)拍手喝采で、それからは毎年、暮れに行っては、作っておりました。(5人兄弟の末っ子の嫁が出すぎた事をしていた訳で、お義姉さん達には悪いことをしたような...)
ある年の大晦日。いつものように、向こうの家に着いて早々、台所に立った私に、信じられない義母のひと言.......「今年からツユは作らなくていいから」。 おいしい市販のタレを見つけたのだそうで、(ホッとした気持ちが無きにしも非ずですが) 憮然としました。 けど、ま、しょうがない、食べましたよ3倍に薄めて。 ところが、「お、おいしぃ、かも」
何年ぶりかで味わった市販のタレは、見事な進歩をとげていたのです。 そうは言っても、手作りのタレとは大違いなのですが、「いつもいつも、すまないねぇ、」と、嫁に気を使って作ってもらう気苦労を差し引いたら、こっちが勝つかもしれない。正直、そう思ったです。以降、大晦日に横手に行く事はなくなりました。
嫁を殺すにゃ刃物は要らぬ、「もう、やらなくていいから」のひとこと、言えばよい。