ホテル/東京のホテル

ザ・リッツ・カールトン東京 本物の上質(3ページ目)

不況下でも、ザ・リッツ・カールトン東京はやはり“強い”。何がどう強いのか……これが今回のストーリー。

村上 実

執筆者:村上 実

ホテルガイド

「もう一度来たい」と思わせる居心地の良さ

オルト
ミシュランに選ばれ続ける日本料理店「ひのきざか」
待ち合わせの友人を伴い、ロビーフロアーにある「ひのきざか」へ。鮨、天ぷら、鉄板焼きと専門のコーナーは既に満席。今回はパートナーの意向で会席料理を。しかし、ここでもミスティークのストーリーが。挨拶に来られた黒須浩之料理長が、「少しアレンジさせて戴きます。文月の献立なのですが……後はお楽しみに」と。

オルト
見た目も美しい繊細な料理
先附から水菓子まで見事に繊細な技が続く。季節の感じでは前菜にあった酢取り茗荷や焼玉蜀きび真薯のようなシンプルな食材に酔う。白ご飯釜炊き、うなぎ地茶漬けがインパクトあり。夏の暑い盛り、食欲と涼感が見事に体現できる逸品。

ジジェスティフ(食後酒)は再びラウンジで。ガイドはほぼ例外なくどこでもアマレットのダブル、オンザロックス。人生から最近のビジネス、旬の話題は衆議院の総選挙。政治の話題は案外こうした雰囲気に似合うと思う。22時までの案内は既に承知しているが、話は盛り上がる。既に時計の針は10分を超えているがクラブラウンジは何の変化も感じさせない。

『もう一度来たい』そういう気持ちを醸し出すのは、つまり制度やシステムに縛られないサービスのあり方なのだろう。同じ場所に何度も足を運ぶには理由がある。そこが居心地の良い場所だからである。折角素敵なゲストルームを独占しているのに、敢えてクラブラウンジに足を運ぶ理由とは。

そこに第3のミスティークがあった。即ちクラブ専任のコンシェルジュの存在。ストーリー性のあるアテンドがいかにホテルゲストを満足という世界に導くかということ。単なる儀礼的な挨拶では決してゲストの心は揺るがないはずである。
「素晴らしい明日であるように……」

この声を背中で聴きながら友人を階下のエントランスまで送っていったロビーまでの帰りのエレベーターでハプニングが。サイモン&ガーファンクルの来日公演に来ていたバックバンドのベーシストが「ナイスジャケット!」と声を掛けてきた。「サンキュー!」。なんと持っていたホテルパンフレットの白い部分にサインまでくれた。凄い! ガイドは鉄板入りのサイモン&ガーファンクルの大ファン。これは宝物。

こういうことが起こるのもラグジュアリーホテルならでは。かつて全米のリッツ・カールトンを取材して回っている時もビッグネームとの遭遇が随分とあったもの。ホテルの思い出はこういうシーンの積み重ねだとつくづく思う。

>>>最後に再びクラブラウンジで朝食を。
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