ホテル/関東のホテル

遂に見つけた“最高のホテル”(2ページ目)

ガイドの30年を超えるホテルジャーナリスト経験の中で、ずば抜けて最高と思える条件を備えたホテルを発見。高いホスピタリティに至福を感じた体験記。

村上 実

執筆者:村上 実

ホテルガイド

4月の箱根の“桃源郷”ストーリー

ハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパ スイート
ガイドが泊まったスイート。落ち着きと洒落た感じが共存する空間
客室は4階のスイート、リビングルームも広く、洒落たデザインのファニチャーで構成されている。ベッドルーム、バスルームとも清潔感が伝わってくる。ホテルとは言え、もともと旅館のコンセプトがあるので浴衣は2種類、丹前も用意されている。館内用(温泉やスパの利用もさることながら食事でも浴衣でOKという)と寝巻き用の2種類があること自体、ホテルでは珍しいことなのでは。それも、最後にホテル名を記すが、このホテルは世界的に有名な外資系のオペレーターなのである。二度も三度もビックリさせられる。

ダブルベイシンで使い勝手の良いホーローの洗面台の横には4種類のバスソルトが置かれている。「せっかく温泉もあるんだから……」と思いつつ、「このバスソルトも良いね」とはワイフの弁。お部屋まで案内いただいた仲野禎一オペレーションズマネージャーはホテル歴25年以上のベテランホテリエ。酸いも甘いも……というホスピタリティの真髄を識るマエストロでもある。尚且つイケメンなのが何とも素晴らしい。

ハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパ アペリティフ
アペリティフは、最高のホテル体験に乾杯するアペリティフでもあった
夕方、4時からは暖炉のあるラウンジで無料のアペリティフが振舞われるとのこと。当日の利用客は100名強と聞いている。6時少し前に階下に降りていくと、なんとラウンジの全席がホテルゲストで埋まっている。後で分かったことだが、外国人客比率も高く、当日は20%ぐらいが外国人か。それも日本に住んでいるビジネスマンで、且つ圧倒的にリピーターである。何が彼らを魅了しているか、興味津々。

ラウンジの周囲にあるドローイングルームやバーも開放されている。家族連れやカップル、女性グループなどゲストの構成そのものはミックスされているのに何故かバラバラ感がない。半分以上のゲストは浴衣に丹前と完全に旅館の気分。6時くらいからフレンチダイニングか和食の鮨処に消えていく。

鮨職人の妙技と会話を堪能

ハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパ 鮨処
雰囲気あるカウンターの向こうで職人の技が繰り広げられる
我々のチョイスは箱根なのに鮨処。ここでガイドのテンションはさらに上がることになる。カウンター席で迎えてくれたのが川江雄一鮨料理長。両隣の席では既に酒も進み、カウンターを挟んで鮨職人と実に和気藹々の雰囲気を醸し出している。鮨の前には趣向を凝らした小鉢がデキュスタシオン(フランス料理における少量多品種のメニュー提供法)といった感じでタイミングよくサーブされる。ここは麦焼酎の水割りというスタイルに。

箱根の名物、湯葉にウニのトッピングといったものからサザエのつぼ焼き、島アジやさわら、烏賊、鮪の刺身盛りといった具合。

ガイドには変な慣習があって、鮨の場合は、まずこはだを二貫最初に口にする。これが食事の合図のようなもので、この後は酒とのコンビネーションを考えながら胃袋の満足するまで食事を堪能するということ。

ハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパ 鮨
駿河湾や相模湾の新鮮な魚介を、選りすぐりの日本酒や焼酎と一緒に楽しめる
面白かったのは兎に角料理長とのやり取り。偶然なのか、料理長はホテル勤務の経験があり、彼が名前を挙げたホテルの総支配人がすべてガイドの友人だったこともあり、話はどんどん盛り上がる。

加えて、この夜が2009年のプロ野球の開幕というタイミング。料理長は関西出身ということで当然ながら阪神ファン、ガイドは生粋の巨人ファン。8時近く前になると試合の経過も気に掛かる。こちらの気配を感じたか、料理長が突然姿を消した。数分後に現れて、「阪神は勝っていますが、巨人は……」。

そうこうするうちに、カウンター席の一番左端に外国人客の姿が。一人である。器用に箸を使いながら小鉢の料理に舌鼓。「どちらから……」とガイドが。そこから小1時間ほどワイフを交えての“国際会議”に発展。ガイドはヘビースモーカーなので、途中席を空けている間もワイフと調理長の掛け合いは続く。ワイフ曰く「こんなに楽しい料理人の方は初めて。何より手が動いて、なお且つ話が上手い。こんな素敵なディナーは滅多にないこと」と激賞。

>>次ページで、最高のホテルの名前を紹介!
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます