▼飼い方で防げる病気
続いて話されたのはセミナーのテーマでもある「飼い方で防げる病気」について。
本題に入る前に耳の痛い話がありました。
獣医さんは医者なんだから診てくれるのが当たり前、と思ってませんか?
また、獣医さんによく聞かずに自分で判断している部分ってありませんか?
大切なペットのためには飼い主と獣医とで二人三脚体勢を取る必要もあります。
ペットが病気のときなどは精神的余裕がなくなりがちなものですが、
自分にとって大切な家族であるように、獣医さんにとっても大切な患者であり、
お互いに良くなるようにと努力していることを忘れないようにしましょう。
▽獣医さんにも思いやりを
ウサギを診たがらない獣医さんというのは少なくありません。
それもそのはず、大学でウサギについて習っていないのですから、診たがらないのは当たり前です。
でも、獣医は飼い主さんに見えないところで一生懸命勉強し、診療しているのですから、
あまり無茶な注文をつけずに、獣医にも思いやりを持ってください。
ウサギの麻酔は危険だ、と世間一般では言われているようですが、
麻酔の危険性に関しては犬、猫と同じです。
但し、ウサギへの麻酔経験というのは犬、猫へのものに比べるとずっと少ないものですから、
獣医さんによってはしたがらないこともあるようです。
ウサギには抗生物質は危険だ、と言われていますが、全ての抗生物質が危険なわけではありません。
リンコマイシンやクリンダマイシンのように1回でも与えれば死なせてしまうものもありますが、
獣医はウサギに安全な抗生物質を選んで処方しています。
「抗生物質は危険だ」という思いこみから処方された薬を正しく与えずに病気・怪我の回復を遅らせたりしないで下さい。
(処方された薬に不安がある場合は、迷わずその場で獣医さんに説明してもらいましょう)
ウサギに多い病気のトップ3は、皮膚病、胃腸の病気、そして歯の病気です。 ▽皮膚病
尿焼け | 軟便がお尻についてそこから皮膚病になるケースが多いので、軟便は早く治しましょう。 |
顎(首)の下の脱毛 | 奥歯が悪くてヨダレが出るようになり、それで汚れてなるケースが多いので、 歯が悪くならないように食べ物に注意し、悪くなった場合には早急に治療しましょう。 |
足底潰瘍 | 硬い床での地団駄が激しいとなったり、金網の床で飼っている子や肥満の子に多いので、 ケージの床を足を痛めないものにしたり、太らせないようにするようにしましょう。 また、早く気が付けるように抱っこして足の裏を見ることができるようしつけもしましょう。 (ウサギは抱かれることを嫌う子が多いので、抱けるようにしつけましょう) |
身体に濡れたままの状態があると細菌性の皮膚病になりやすくなってしまいます。
濡れたままにしないように注意して下さい。
痒がっていて、身体をチェックしたときにハゲがあったらツメダニが疑われます。
ツメダニは人間にもうつるので飼い主が痒くなることもあります。
痒がるというサインを見逃さないようにしましょう。
真菌性皮膚炎(カビ・リングワーム)はあまりウサギはかからないのですが、
症状として放射状にハゲの部分が広がっていくので、ハゲている部分があったら注意して下さい。
湿度が高いとなりやすいので、乾いた環境を作ることが予防になります。
但し、買ったときにすでに感染していることもありますので、飼い方だけで100%防げる病気ではありません。
毛玉症はブラッシングで抜け毛を取り除いてあげることが予防になりますが、それだけでなく、
干し草を多く与えるようにすることも予防になります(毛玉になりにくくなる)。
野生のウサギが食べるものに一番近いのが干し草です。
薬に頼るよりも、干し草をしっかり食べさせるようにしましょう。
お腹がぱんぱんに脹れてしまうこともある鼓腸症は、腸が動きを止めることで起きる病気です。
原因としてはストレスや繊維質不足が考えられます。
ストレスのない環境を心掛けるだけでなく、ストレスに強い子に育て、
繊維質不足にならないようしっかり干し草を食べさせましょう。
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