しかし、そういった人工物での装飾は、変化が無いためにやがて飽きてしまいます。何よりもレイアウトした時がピークで、時間の経過と共にコケなどに被われてしまい、やがて色褪せていくのがちょっと寂しい。
熱帯魚の飼育というものは、小さな水槽の中に、大自然の縮図を再現させるのが醍醐味だと思います。熱帯魚の飼育そのものに慣れてきたら、自然を感じさせるレイアウト、自然の変化を感じることのできるレイアウトにチャレンジすることをお勧めします。
そんな自然志向なレイアウトを制作するための、さわりの部分について解説していきたいと思います。
自然にある素材を用いたレイアウト
レイアウト素材として、定番の流木。様々な形をしたものが売られ、選ぶのも楽しい。 |
これらは、水槽のレイアウト素材としては定番で、形状、質感の異なる様々なものが販売されています。基本的にどのようなものを使っても構わないのですが、水質への影響が少ないものを選ぶのが基本です。中には、入れることによって水質の悪化を引き起こしたり、コケが生えやすくなってしまうものもあるので注意が必要です。
特に自家採集した流木は、生木であったり、塩抜きの必要があるものなど、初心者は手をださない方が良いかもしれません。市販の流木も、基本的に購入後のケアが必要になります。そのままでは大量のアク(フミン酸等)が飼育水に溶け出してしまうため、一度アク抜きをしてからレイアウトに用います。
方法は簡単で、流木がすっぽり入る鍋に入れて、数時間煮沸する。適当な容器に入れて水没させ、定期的に水を替えながら一ヶ月ほど置いておく。市販のアク抜き剤を使用する。などの方法で行います。あらかじめ、アクを抜いた状態で販売しているショップもあるので、多少割高でもそういったものを選べば直ぐに使用可能です。
見た目が面白いため、サンゴの類は水槽内の装飾として使われがち。しかし、水質をアルカリ性に傾けてしまうため、その様な水質を好む魚以外への使用は適していない。 |
着生する水草を使用したレイアウト
東南アジアに分布するミクロソリウムの仲間は、丈夫で弱い光でも育つため、とても使いやすい水草。流木などに着生した状態で、販売されることも多い。 |
着生する水草の多くが丈夫で、育成の容易なものが多いのも特徴です。以下に代表的な着生する水草を、紹介した記事をリンクしておきますので参考にして下さい。
水草を用いたレイアウト
ネイチャーアクアリウムと呼ばれる、自然の景観を模したレイアウトスタイル。我が家の自慢のアクアリウム#06。 |
思い通りのレイアウトを制作するためには、照明、フィルターを水草用に揃え、二酸化炭素を添加する必要があります。そうすることで、従来の消費的な水草の使用から、水草を健全に育成することが可能になってきます。
詳しい水草の育て方については、水草水槽の基礎知識の中で解説しているので参照してください。
- 第1回 水草水槽のすすめ
- 第2回 フィルターの重要性
- 第3回 照明と二酸化炭素
- 第4回 CO2添加方式のバリエーション
- 第5回 CO2高圧ボンベを使用しての強制添加
- 第6回 トータル的に優れた照明―蛍光灯
- 第7回 水草水槽に適した底床
水草用に環境を整えれば、特殊な水草を除き、ほとんどの水草を育てることが可能です。こうなって初めて、思い通りにレイアウトが行えます。水草を使ったレイアウトの手法は奥が深く、簡単に説明できるものでもありませんが、ある程度マニュアルが出来上がっています。育成方法も然りですが、レイアウトのスタイルも確立されています。専門の書籍も数多く出版され、意外と敷居は低いもの。ぜひ、癒しの水草レイアウトにチャレンジしてみてください。
参考:All About熱帯魚のユーザーから、送って頂いた水草レイアウト集。
下の画像をクリックすると、沢山のレイアウトをご覧になることができます。