アカマタ様の性格
私のような、フィールド好きの人間にとってはアカマタと言えば、何よりも「気が荒いヘビ」の代名詞です。例えば、本土のシマヘビも比較的、気が荒いのですが、アカマタの気の荒さは別格です。
私たち人間が屋外でヘビに出会うと、多くのヘビはすぐに逃げていったり、そこにうずくまってしまいます。アカマタも、逃げる場所が近かったりするならば、多くのヘビのように逃げようとするのですが、追いつめたり、道路の真ん中だったりすると、すぐに臨戦態勢に入ります。
つまり、いわゆるS字状に体の前半を曲げて、持ち上げ咬蛇姿勢をとります。このような姿勢をとるヘビは多いのですが、威嚇だけの場合が多いのです。ところがアカマタは、ここからバンバン飛びかかってきます。さらに捕まえようとすると、もうそれこそどんな体勢になっても咬みついてきます。
私も、たいていのヘビは安全に捕まえることができる自信はありますが、アカマタだけは別です。まず間違いなく咬まれて流血します。普通のヘビは、首を保定してしまえば咬まれることはありませんが、アカマタは首を保定されても、とにかく咬みついてきます。
もちろん、長い間飼育されていて、人間に触られることに慣れた個体ならば、多少はおとなしくなるのでしょうけども、飼育下でもこのアグレッシブな性格は、あまり変わりません。私の家にも5年ほど飼育しているアカマタがいるのですが、私の姿を見るたびに水槽のガラス越しにバンバン飛びかかってきます。何が、そんなに気に入らないのか!?って感じです。
ですから、テレビの番組の中でヘビの扱いに慣れていない芸人がおもむろにつかんだりしようものなら、100%咬みつかれて流血するのは当然です。
さらに、アカマタに限らす、マダラヘビの仲間は危険を感じると、肛門にあたる総排泄孔から糞や尿、そして臭いニオイの臭腺液を放出します。そのため、アカマタをいじったあとは咬まれて痛いわ、血はダラダラ出るわ、臭い液が手やら洋服やらに付着しまくって大変な目に遭うのです。
そんなヘビですから、私たちはアカマタならぬ「バカマタ」なんてヒドイ名前で呼ぶこともありますが、それは彼らに対する愛情の表れなのです。
なぜなら、そうやって呼ぶ我々こそ、彼らのことを「アカマタ様」と敬称付きで呼んでいるのですから。
カリスマ悪役
さて、なぜ、私たちは彼らのことを「アカマタ様」と呼ぶのでしょう。それはアカマタに「カリスマ性」があるからなのです。何よりも、アカマタにはヒールつまり「悪役」という確固としたステイタスがあると私は思っています。
アカマタの全身像 |
もちろん、上述したようにアグレッシブというかバイオレンスな性格によるところが大きいのですが、他にも「赤と黒の毒々しい配色」「夜行性特有の、ネコの目のような縦長の瞳孔」という外見の特徴もあります。
しかし、アカマタのカリスマ性は外見だけではありません。