爬虫類・両生類/両爬のQ&A

1時間目・染色体と減数分裂(2ページ目)

新シリーズ記事です!今さら聞けない両爬の用語に遺伝に関するものがあります。このシリーズでは両爬飼育に役立つ遺伝を中心とした生物の基礎知識を授業の実況中継風に解説していきます!その第1弾です!

執筆者:星野 一三雄

染色体

さて、その遺伝子だがどこにあるのか?
遺伝子は、生き物の体を作っている「細胞」の中の「細胞核」の中の「染色体」の中にある。と言うか、染色体そのものが遺伝子のかたまりと考えれば真実に近いイメージだ。

染色体は、細胞の核の中に存在しているんだが、「ひも」みたいな形をしていると思ってくれてかまわない。本当は、ヒモみたいな形になるのは細胞分裂する時だけで、普段は糸のようになっているんだが。
で、この染色体は複数存在していて、その数が生き物の種類によって決まっている。

例えば、我々両爬ファンに限らず人間の場合は46本を持っている。両爬だったらトノサマガエルで26本。ニホンヤモリで38本だ。我らがコーンスネークは36本という感じ。

ここで注目して欲しいことがある。
この染色体の数字を見て何か気づかないか?
じゃ、出席番号1番
「46、26、38...全部、偶数ですか?」
おっけーーーーい!!!!!それよ!

そう。染色体の数は偶数なんだ。※ただし奇数である場合もある。
実は、染色体というのは、それぞれ「形」が違うんだが、必ず「同じ形をした染色体が1組ずつ」ある。つまり、トノサマガエルの場合は全部で26本なんだが、その半分の13種類の形をした染色体があって、それぞれが2本ずつあるわけ。絵で描くとこんな感じか。

会心の図だね...
細胞内の染色体の模式図


26本全部書くとごちゃごちゃになるから、染色体数は全部で2対4本の場合を書いてみた。

オレンジ色の染色体が1組、青い染色体が1組で合計2組、4本だ。トノサマガエルの場合は、この他に11種類の染色体がそれぞれ対になって、合計26本ある。

だから、染色体数を表す時は「5種類の染色体が、対になっていて5対で5×2=10本という意味で『2n=10』」というように表すことになっている。
ちょっとここで練習問題をしてみよう。

練習1:ニホンヤモリの染色体数は38である。これについて以下の問いに答えよ。

問1. ニホンヤモリの染色体数をnを使って表せ。

問2. ニホンヤモリの染色体は何種類あるか。

問3. ある生き物のメスは、23種類の染色体を持っている。この生き物の染色体数はいくらか。nを使って表せ。

答えはコチラ

相同染色体

この同じ染色体の対、上の図でいうところでは、同じオレンジ色の2本の染色体同士、あるいは青い染色体同士のことを「相同染色体」と呼ぶ。だからトノサマガエルの場合は「13組の相同染色体」をもっていることになる。

しかし、よく考えてみると染色体というのは、ものすごくたくさんある遺伝形質の一つひとつに対応した遺伝子のかたまりなのだから、同じのを2つ持っているってことはとってもムダなことだと思わないか?なんで、こんなムダなことをするんだろう。つまり、なぜ染色体は同じモノが対になっているんだろう?

ところでコーンスネークを繁殖させるためには何が必要かな?
出席番号6番!
「アダルトのペアです」

その通りっっ!!

つまりオス親とメス親が必要だ。我々人間だって、父親と母親がいて産まれてくるわけだしな。で、その異性の共同作業、ヘビの場合は交尾だな。それによって父親の精子と母親の卵が合体して、子になるのは知っているよね?

この精子と卵が合体することを「受精」と言います。

だから子は精子と卵が受精して産まれるということだ。そして、子は父親の遺伝形質と母親の遺伝形質を引き継ぐ。
こうやって考えれば、自ずと染色体が同じモノを対になって持っていることの答えが見えてくる。

そう。子が持つ対になっている染色体は、片方が父親から引き継いだ染色体、もう片方が母親からもらった染色体ということなんだ。
つまり、君が持っている46本の染色体のうち、半分の23本はお父さんから、残りの23本はお母さんからもらったものなんだよ。
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