で、進路指導
これらの職業に就いて、両爬とともに人生を歩むことを目標にするのはいいのですが、そのためにはどうすればいいのでしょう?意外に高校生などに多いのですが、大学というのは職業を決めるために行く、と考えている人がいます。
例えば医師になるためには、法律で決められていますので医学部へ進学しなくてはいけません。
じゃ、教員になるには教育学部へ行く必要があるのでしょうか?答えはノーです。簡単に言えば、どんな大学でも教員の免許をとることは可能なのです。ちなみに私は理科の教員ですが大学は農学部の水産増殖学科を卒業しています。
逆に、教育学部へ行った人がみんな学校の教員になるかというと、これも答えはノーです。いろいろな職業にみんな就いています。
ですから獣医師以外は、両爬の仕事に就きたいからといって両爬に関係した大学や学部に行く必要などはないわけです。というか、そんな大学や学部はありません。
現在、この世界で活躍されている方々のほとんどは、自分で洋書を読んだり、ベテランの方々と話をしたり、外国へ行ったり、いろいろな方法で情報や知識を収集してそれを自分の力とされたのです。
また、どんなことでもそうなんですが、ライターの冨水さんは「爬虫類のことだけじゃダメ。いろいろなことに関心をもって、いろいろな経験をする必要がある」と言っています。つまり両爬を職業にしたいから両爬のことだけしか知らないようでは、きっとうまくいきません。
職業にするということは、それによって人間一人が何十年も生活できるようにしなくてはいけないわけですから、ただ「好きだから、それだけやれればいいや」では、決して長続きしないでしょう。ですから社会の中でいろいろなことを貪欲に学んでいく必要があるのです。
しかしそれでも「大学で専門的に両爬に関して学びたい」という方もいるでしょう。
次は、あくまでも「大学」へいくことを前提に「両爬に関して学ぶ」にはどうすればいいか、をお話ししましょう。
両爬を学べる大学
まず最初に理解して欲しいのですが、大学では同じ学部・学科名としても、必ずしも同じ内容について学ぶことができるとは限らない、ということです。わかりやすく言うと、その学部等に所属されている先生方は、それぞれ研究のテーマを持っています。ですから、もちろん学生が学ぶ(というか研究する)テーマも担当の先生の影響が強くなるわけです。
ですから両生爬虫類に関して学びたい、と考えるならば、両生爬虫類を専門にされている、あるいは両生爬虫類を積極的に扱っている先生が在籍している大学・学部・学科選びをしなくてはいけません。
幸い、最近では各大学ともweb上で研究内容の紹介などのページを充実させていますので、積極的に調べてみるといいでしょう。
研究内容までには触れずに、私がぱっと思いつく両爬関係に強い大学・学部・学科は国立ならば京都大学・総合人間学部・自然科学系および理学部・生物科学系と琉球大学・理学部・海洋自然科学科(生物系)でしょう。この2大学3学部は両爬に強いというより、むしろ日本の両爬研究の総本山であります。ただしどの学部も入学後に専攻するコース分けがされますので、入学したからと言っても、必ずしも両爬の研究ができるとは限りませんので要注意です。
その他に国立では広島大学・理学部・生物科学科の発生生物学研究室で両生類を使って研究を行っており、両生類研究施設を持っているようです。さらに弘前大学・農学生命科学部・生物機能科学科ではサンショウウオやヘビを使って研究をされている先生がいらっしゃるようです。一方、私立大学では東邦大学・理学部・生物学科が積極的です。
その他にも両生爬虫類を学ぶことができる大学はあると思いますので、ぜひ自分で調べてみて下さい。
傾向と対策
さて、行きたい大学が決まったからと言って安心してはいけません。大学に入学するためには、厳しい入学試験を突破しなくてはいけません。
今さらな説明ですが、国立大学の場合は一般に大学入試センター試験の得点と個別学力試験の合計点で合否を判定する仕組みになっています。基本的にはセンター試験も個別試験も大学によって受験に必要な教科・科目が決まっています。
詳しくは、必ず入試ガイドなどで確認することをおすすめしますが、簡単に今回紹介した大学の入試情報をまとめておきます。
区分日程 | 大学 | 学部 | 学科系コース | センター科目数 | 個別試験 | センター目標得点率得点 |
国公立前期 | 京都 | 総合人間 | 自然科学系 | 5-7数(2)理(2) | 国・数III+C・英・理(2) | 85%765点以上/900点 |
理 | 生物科 | 5-7数(2)理(2) | 国・数III+C・英・理(2) | 85%765点以上/900点 | ||
琉球 | 理 | 海洋自然科生物系 | 5-7数(2)理(2) | 数III+C・理(1) | 72%648点以上/900点 | |
広島 | 理 | 生物科 | 5-7数(2)理(2) | 数III+C・英・理(2) | 75%675点以上/900点 | |
弘前 | 農学生命科 | 生物機能科 | 5-7数(2)理(2) | 生+数II・物・化から1で計2 | 68%550点以上/800点 |
区分 | 大学 | 学部 | 学科系コース | 個別試験 | 目標偏差値 | 昨年競争率 |
私立一般 | 東邦 | 理 | 生物 | 英・数II・理(1) | 57 | 4.4 |
ここで受験生のみなさんに一つだけ知っておいて欲しいのは、東邦大・理・生物ではセンター試験利用方式の入試形態があることです。
悪いことは言いませんので、理科と数学で高得点がのぞめそうな人は、ぜひ出願しておきましょう。合格ラインは得点率83%以上ですが、得意科目ならばそのくらいの得点は目指しているでしょうから、ダメもとの気持ちで出願の準備をしておきましょう。思わぬ好結果が出るかもしれません。ちなみにこの形態の入試の昨年度倍率は4.6倍だったようです。私たちから見れば、狙い目であります。ただし、残念ながら2005年度入試の出願締め切りは1月14日でありますので、考えている方はとにかく問い合わせてみて下さい。
それともう一つ耳寄り情報を。
琉球・理・海洋自然科学・生物系はセンター試験を課す特別選抜(推薦入試)があります。こちらは出願期間が1月19日~21日ですので、まだ間に合います!高校での成績が○A以上ですので、考えている方は担任の先生に相談してみましょう。ちなみにこちらは昨年度倍率が1.5倍です。琉球の両爬に思い入れがある受験生は、かなり可能性があります。
ま、とにかく行きたい大学があるんだったら勉強しなさい、ってことです。
また、来年以降に受験をする予定の高校1・2年生と中学生の諸君は、学校のすべての科目の勉強を大切にすることと、こういった入試の情報に関心を持ち続けることによって、思いがけないチャンスが出てくることもありますので、ぜひ参考にして下さい。