▼どんなことに注意すればいいのか?
サルモネラ菌や赤痢アメーバは動物達腸内に住んでいますので、排泄時に糞便に含まれている可能性があります。
また、一時期話題になってしまった「ミドリガメ」などの水生種は、水中に排泄しますので体全体に病原体が付着しています。
ちょっと話は逸れますが、よく「ミドリガメのサルモネラ菌」の話に関して質問を受けます。事実ミドリガメの60%(一説によれば90%)以上がサルモネラ菌を保有していると言います。またアメリカのある州では法律で「子供の口に入るような小さなミドリガメ」の販売を制限している、と聞きました。
繰り返すようですが両爬たちが病原体を持っているのは当たり前なのです。扱う人間が注意するべきなのです。
話を戻しますが、それでは感染しないためにはどうすればいいのでしょう。
・扱った後は手を洗う
これに尽きます。トイレで用を足した後は手を洗いますよね?それと同じです。私の友人などは生き物の世話をする時は必ず「消毒用エタノール」の入った霧吹きを用意して消毒します。大袈裟な話と感じられるかもしれませんが、有効ではあります。
・糞便は速やかに処理する
両爬たちの糞は病原体が入っていて当たり前です。乾燥によって糞便が空気中に舞い、口の中に入ってしまうことだって考えられます。ケージ内をきれいにしておきましょう。
・咬まれたり、引っかかれたりしたときはすぐに消毒をする
ヘビやモニターなどにはよくありますが、咬まれたり引っかかれたりした場合は傷口から病原体が入ることが考えられますので、消毒を忘れないようにしましょう。爬虫類は歯を磨きません。口の中は雑菌がいっぱいいるでしょうから。またネコの場合はひっかき傷からパスツレラ病という恐ろしい病気になることだってあるのですから。
他にもイヌやネコの飼育者の方々ならば「口移しに餌を与えないこと」などがあると思われますが、まさかヘビにピンクマウスを、トカゲにコオロギを、「口移し」で与える人はいないでしょうから...
▼予防法はないの?
しかし、自分がかわいがっている動物にたくさんの病原体がいる、なんて考えるのも辛い、っていう方もいるでしょう。動物病院の先生の話によると、
「うちのカメに病原菌がいるかどうか検査してくれ!」
っていうような飼い主の方もいるそうですが、残念ながら、そのような検査というのは簡単ではなく時間もかかるのが一般的です。ですから、完全な予防というのは難しいのです。また腸内に住み着いている細菌類というのは彼らの消化吸収に役立っているものも多くいるので、一概に細菌をやっつけてしまおう、と言うのも考えモノです。アメリカなどでは両爬に与えることによって腸内の「善玉菌」を殖やしサルモネラなどの「悪玉菌」をやっつけさせる、という目的のサプリメントも売られているようです。
▼繰り返しますが...
確かにサルモネラを見ても両生爬虫類が持っている病原体は恐ろしいモノではあります。
しかし、これらは健康な成人であれば、そして動物との過度のスキンシップなどのコミュニケーションを避け、前述したような衛生的な飼育と毎日の世話を心がければ、ほとんど神経質になるべきモノではありません。事実、私のように家でも職場でも両爬に囲まれて毎日を送っていても健康上の問題がない人間もいます。彼ら両爬と我々人間は同じ生き物ではない、同じ生活はできない。そんな認識をしっかりと持って、彼らとの良い関係を保ってもらいたいものです。
最後にもう一回。
「自然の生き物が病原体を持っているのは当然。病気を避けたければ注意深く彼らと接しましょう。」
<関連サイト>
All About Japan[ペット(小動物)]人畜共通感染症
エキゾチックペットクリニック
VEIN
YIL(>主な取扱商品>「NutriBAC」)
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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。