爬虫類・両生類/両生類・爬虫類の飼い方

その5 照明 太陽を見習え!!

カメやトカゲの飼育で頭を悩ますのが「照明」です。ただ、明るけりゃいいってもんじゃないんです。「紫外線」が不可欠なんです。爬虫類にとって「紫外線」とは!?

執筆者:星野 一三雄

両爬飼育初級者の皆さん、お待たせいたしました!!
いよいよコトハジメの第五回です。今回は昼行性の爬虫類、特にトカゲの仲間、カメの仲間あたりの飼育を考えている方が最も頭を悩まし、なおかつわかりにくい話である「照明」にCloseUpです。

まず先にいきなり結論めいたことを言っちゃいますが、
太陽光に勝る照明なし!!
です。肝に銘じていてください。どんなによい照明器具を使ってもすべてのエネルギーの源である「太陽」の光にはかないません。
時間が許すならばわずかな時間でもいいですから、できれば毎日、日光浴をさせてあげてください。


▼なぜ照明が必要なのか?
両爬飼育では照明を「必要とする種」と「必ずしも照明を必要としない種」があります。
もちろん鑑賞を目的に飼育をするのでしたら、明るくしてあげた方が見やすいし、きれいですからそういう意味では、ほとんどの両爬飼育では照明は、無いよりもあった方がいいですよね。やっぱり、暗くしてしまうと世話も行き届かなくなりますから。
でも両爬飼育では鑑賞効果をあげる以外にも、照明にはとても大切な意味があるのです。それは「紫外線(UV)」です。

▼紫外線と一言に言っても...
ここでは簡単に「紫外線」の事をおさらいしましょう。現役の理科の教員である私がほんとーにごくごく簡単に。

太陽の「光」は一様に見えますが、実は「虹の七色の光(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)」が混じった光なのです。また、光の色などの性質は、その光が持つ「波長」によって決まります。上の七色では赤になると「波長が長く」、紫になると「波長が短く」なります。「紫外線」というのは文字通り「紫色の光よりも波長が短い光」です。光と言っても我々人間では見ることができない光ではありますが。

▼紫外線にも種類がある
紫外線は大体、260nm(ナノメートル)から380nm の波長です。このうち波長が大きい方から

・UV-A(およそ波長380-320nm)
・UV-B(およそ波長320-290nm)
・UV-C(およそ波長290-260nm)


と言い、それぞれに特徴(生き物に対する影響)が異なります。

・UV-A・・・食欲の増進や脱皮の促進に関係すると言われています。
・UV-B・・・カルシウム代謝(後で詳しく)
・UV-C・・・細胞を破壊、日焼けの原因、皮膚ガンと密接な関係があると言われています。

ちなみにUV-Cはオゾン層で吸収されるため微量が地表にまで到達します。その量が絶妙で地表面をうまい具合に殺菌してくれてもいるのですが。

▼UV-Bのはたらき
爬虫類飼育にとって最も重要なのがUV-Bです。それは、UV-Bが爬虫類の「」を作るのに重要な役割を持っているからなのです。
生き物の骨は言うまでもなくカルシウムからできています。ですから我々も含めて体を成長させるためには食料を通じてカルシウムを摂らなければいけません。

ところがいくらカルシウムだけを摂っても「骨」にはならないのです。摂取したカルシウムを骨など、生き物の体に役立てるためには「ビタミンD3」が必要なのです。実は、このビタミンD3はUV-Bによって生き物の体内で合成されるのです。ですからUV-Bがなければ爬虫類は健全に飼育できないと言えるでしょう。

ただし夜行性の種などは体内でビタミンD3をUV-Bなしで合成できますので、基本的には紫外線は不要になります。逆に昼行性で草食の爬虫類(リクガメやイグアナなど)はUV-Bは不可欠です。
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