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FIP最新情報と猫のストレス

FIP(猫伝染性腹膜炎)の最新情報と、その原因といわれる猫のストレスについて考えてみたいと思います。ストレスは万病の元…。同居猫には、ストレスの少ない生活を考えたいですね。

岩田 麻美子

執筆者:岩田 麻美子

ネコガイド

2005年 04月 20日に『ネコ腸コロナウイルスと抗体価検査 ネコ伝染性腹膜炎=FIP』を掲載しましたが、この病気についての最新情報を『猫の病院SyuSyuキャットクリニック』の服部院長から伺うことができましたので、ご紹介します。

ネコ伝染性腹膜炎=FIPの病気に関しては、こちらを、お読みください。

FIP最新情報

仲良しは、いた方が良いかも~
仲良しは、いた方が良いかも~
前回の記事で、FIP(猫伝染性腹膜炎)は、『FIPウイルスは、ネコ腸コロナウイルス株の突然変異の一種』と書きましたが、最新の情報では

・コロナウイルスと、FIPを発病させるFIPウイルスの遺伝子レベルは同じで、突然変異を起こした変化は認められない。発症するかどうかは、猫側の要因が大きいのではないか?

と考え方が変わってきているそうです。

では、猫側の要因とは?
一番がストレスだといわれています。
とはいえ、元々猫は非常にストレスに弱い動物。ストレスを感じて発症する病気は、FIPだけでなく、特発性膀胱炎、脱毛、吐く、下痢などほとんどの病気がストレスと関係しています。

ただ、個体差が大きい動物なので、ある猫は非常にストレスを感じても、全然平気な子もいます。愛猫の様子を観察して、ストレスを感じているように思われたことは軽減して、リラックスできる空間と時間を作ってあげましょう。

一般的に考えられる猫のストレス

・体調が悪い(風邪引きや下痢や膀胱炎や…)
・発情、妊娠、出産、子育て
・相性のあわない猫同士の同居
・同居人の生活パターンの変化
・家族構成の変化(家族が増えたり・減ったり、新しい猫が仲間入りしたり)
・引っ越しやリフォーム・家具の変化
・汚れたままのトイレや、トイレ位置の変更(落ち着かない場所)
・1日の中の気温の極端な温度差
・大きな音・聞き慣れない音(外猫のケンカ声・発情期の声、近所の工事、オートバイの空ぶかしなど)
・不妊・去勢手術や頻繁な動物病院通い
・同居人の精神的不安定
・同居人の過度な干渉(寝ているところを無理矢理起こしたり…)
・急激な食事の変更

これ以外にも、その子だけが感じるストレスがあるかも知れませんので、

・過度なセルフグルーミング(舐めハゲなど)
・粗相
・過度に吐く
・特別に食事に執着、またはムラ食い、食欲不振
・浅い睡眠
・落ち着きのなさ
・いつも以上によく鳴く
・急激な体重減少/増加

などが見られた場合は、それが体調変化によるものか、ストレスを感じているからなのかを判断する必要がありますので、まず動物病院にご相談ください。

純血種が多い?

健康な子猫は好奇心旺盛
健康な子猫は好奇心旺盛
統計的には、FIPの発症率は純血種の方が多く、mixの方が少ないそうです。

これについては、純血種の方が子猫の時から大切に育てられて、大きなストレスにさらされる確率が少なく、ストレスに対しての免疫が少ないので、少しのストレスでも発症の引き金になってしまう。

mixの子猫は、幼い時期にご飯が満足に食べられなかったり、親兄弟との早い別れなどのストレスを経験する個体が多いので、ストレスへの免疫があるから、というのですが…。

純血猫が、すべて大切に育てられているか?
mixだから、過酷な境遇を生き抜いてきたか?

とは、一概に断定できないので、わたし個人は確率の問題でしかないように思います。 個人的な考えですが、わたしは(もしかしたら)『FIPを発症させやすい遺伝子』というものが存在していて、純血猫は限られた遺伝子プールで繁殖されるので、それを受け継ぐ個体が多い=純血種の方が発症率が高いのではないか?と想像しています。
※あくまでも素人の想像です。

もし、純血種のブリーダーさんのお宅でFIP発症猫がでたら、その猫のラインを繁殖に使うのは止めることが一番安全ではないか?と考えます。

FIPのワクチンは?

ちなみに、カナダではFIPのワクチンが市販されているそうですが、その効果はまだ未知数で、日本では、当分市販まではいかない、とのこと。

以前もアメリカでワクチンが開発されたことがありましたが、その時も、ワクチンを接種して発病する猫がいて大問題になりました。 まだまだ、病気のメカニズム自体が解明されていないので、ワクチンに期待するのは危険なような気がします。
なんにしても、FIPと診断されてしまうと(ドライタイプの場合は、確定診断が非常に難しく)予後が厳しい状況は変わらず。。。 一日も早く、治療法が確立されて欲しいです!


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