仲良し同士の毎日の挨拶です |
コミュニケーションの手段としての嗅覚
道路の真ん中で、部屋の片隅で、一心不乱に鼻を擦りつけて…中にはフンフンと鼻を鳴らしニオイから情報収集をしているネコの姿を見たことがありませんか?
ネコは犬のように空中を漂うニオイを分析して活用するよりも、そのニオイの元に鼻を擦りつけて得られる情報をより大切にするようにみえます。
多くの犬は獲物のニオイを嗅ぎ分けて追いつめる・巣穴を突き止める、といった狩りスタイルを得意としますが、ネコの狩りの基本は待ち伏せです。
微かな獲物の鳴き声や動く音、視界の中で動く獲物を目で捕らえて、次に獲物が出てくるのを待ち伏せし慎重に距離感を測りながら飛びかかるのがネコの得意とする狩りのスタイルです。
もちろん、人間より優れた嗅覚を持っていますから、獲物のニオイを嗅ぎ分けているでしょうが、ネコは狩りのためより、仲間同士のコミュニケーションの手段として嗅覚をより活用しているのではないか、と思えます。
同居人(人間)が外から帰ってくると、ネコはすっと足元にすり寄り耳の下の毛が薄くなっている額部分・鼻先を擦りつけ、次いで全身をズリズリ擦りつけ、最後にシッポを巻き付けて離れていきます。
また、膝の上に飛び乗り、前脚でフミフミするネコもいます。
指や腕を丹念に舐めたがる子もいます。
「あら~私がいなくて寂しかったのね!こんなに甘えてくれて!」
もちろん甘えたい気持ちもあるでしょうが、これらはすべてネコのニオイつけ=これは私の所有物よ、という儀式です。
同居人は外に出かけると、いろんなニオイをつけて帰ってくるので、ネコとしてはそれを入念にチェック、また自分のニオイを付けて安心したいのでしょう。
ネコはニオイつけと同時に自分の手足についた相手のニオイを舐めて、文字通りニオイを味わって再度確認します。
ネコはニオイを味わうことができる動物なんです!
よく『ネコは人よりも、場所に慣れる』といわれますが、それはネコがいかに自分のニオイを大切にする動物かという現れでもあると思います。
初めての場所、新しい家具などが置かれると、そこに自分のニオイがないのでネコは非常に不安になります。
特に用心深いネコは、薄暗い狭いところに潜り込んで、新しい環境を用心深く観察し、そのものの位置が認識できてくる(それらが自分に危害を与えるものでないとわかる)と、今度は自分のニオイを付けて回ります。
ネコを初めて家に迎え入れたときは、ネコが自分の縄張りの印を付け終わるまで焦らずにネコのペースにあわせることが大切です。
ネコのニオイつけは
・尿
・皮脂腺からでる脂
・頬腺や肉球、肛門腺からでる分泌物
・唾液
などによって行われます。