ネコからトキソプラズマに感染するには
このように、室内で飼われているネコの糞便から直接感染するためには次の3つの条件がそろわなければいけないので、かなり確率が低いように思われます。
1.初感染のネコ、または免疫が落ちて再感染・再発症しているネコ
2.感染後約1~数週間の間の糞便
3.排出されて24時間以上放置された糞便についているオーシストを直接口に入れた場合
妊婦さんにトキソプラズマが問題になるのは?
妊娠中に初めてトキソプラズマに感染した場合は、胎盤を通じて胎児も感染(先天性感染)し胎児の流・死産や新生児水頭症を引き起こす可能性があります。
これだけを読むと、妊婦さんにとってトキソプラズマ感染症の感染源となりうるネコとの生活はもってのほか!となりますが…
まず、上記のような胎児に問題となる感染は、妊娠中に初めてトキソプラズマ感染症にかかった場合だけです。
過去(妊娠の6ヶ月以上前)に、トキソプラズマ感染症にかかったことがある場合は、全く問題になりません。
これは、人の免疫機構により増殖が抑えられ、血中に虫体が出てこない、すなわちトキソプラズマに対する抗体がすでにできているからです。
※これから妊娠の可能性がある方は、まず一度トキソプラズマの検査を受けてみてください。
◆抗体価の反応が陽性であれば、妊娠してもこの病気に関する危惧はほぼ考えなくても良いでしょう。
◆あなたが陰性だった場合は、飼いネコのトキソプラズマ抗体価検査を受けてみましょう。
→飼いネコが陽性の場合:ネコの免疫機能が落ちて再発症する事がないようにネコの健康管理に注意を!
→飼いネコが陰性の場合:あなたもネコもトキソプラズマに感染しないように要注意!
- 完全室内飼い
- 食餌はネコ用のドライフードか缶詰のみ
- 肉類を与えるときは十分に加熱する
- 虫やネズミなどのほ乳類を口にしないよう注意
- ネコとの密接な接触(一緒に寝る,食べ物の口移し,顔を舐めさせる等)を避ける
- トイレ掃除はその日のうちに
- トイレの砂は定期的に捨て、トイレを熱湯消毒す
- トイレ掃除の時は手袋をするなど糞便を直接触らないように
実はネコより、もっとコワイ感染源!
トキソプラズマの終宿主がネコ科の動物であるがために、ネコが一番の悪者にされがちですが、実はネコからの直接感染より、下記の感染率の方が高いのです。
●オーシストに汚染された土や砂
※よそのネコが外でトイレをして、土や砂の中にすでにネコのオーシストが含まれている可能性があります。トキソプラズマ原虫は非常に生命力が強く、野外では1年以上感染力を維持するそうです。また薬剤・抗菌剤や低温・乾燥にも強いといわれています。
→庭(土)いじりをするときは必ず手袋着用
●シストがいる中間宿主の肉類
→肉には完全に火を通してから食べる
・肉類の加熱:70度~10分以上
・-20度で2日以上の冷凍
→生で食べる野菜などを先に調理し、後から生肉を調理する
→生肉を扱ったまな板や包丁、シンクなどは熱湯消毒をしていつも清潔に
●ハエやゴキブリなどの昆虫
すべてのことに共通して、何かを行った後・何かを始める前は
石けんと流水でよく手洗いをしてください。
直接口に入らなければトキソプラズマに感染することはないのですから!
ここまで読んでいただければ、ネコから直接トキソプラズマに感染する恐れがどれだけ少ないか、ということをご理解いただけたと思います。
「なんだ、(ネコとの同居において)常識的な生活をしていれば問題ないじゃん」ということになりますよね。
次回は出産後の赤ちゃんとネコの関係についてです。
ネコ伝染性腹膜炎=FIP
6月のネコお役立ち情報-ノミの季節
5月のネコお役立ち情報-ネコの暑さ対策
4月のネコお役立ち情報-ネコの毛についてのお話
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