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猫免疫不全ウィルス感染症 猫エイズ(FIV)

猫の三大伝染病の中のひとつ、猫エイズの感染経路や治療方法など。

岩田 麻美子

執筆者:岩田 麻美子

ネコガイド

記事:前ガイド戸松 佐恵美


猫には伝染病がいくつもありますが、猫伝染性腹膜炎(FIP)、猫伝染性白血病と並んで怖れられている病気が、今回取り上げた「猫エイズ」です。
私は医者ではなく、単なる一人の猫の飼い主に過ぎませんので以下の記述につきましては、様々な文献を読んで勉強はしたものの、完璧なものではないかもしれません。
よって、万一、記述が違っていた場合にはご指摘頂ければ幸いです。
なお、ご自身の猫ちゃんが猫エイズに感染、または発症している場合、この記事だけを鵜呑みにするのではなく、必ずかかりつけのお医者様とご相談の上治療方針を決めて下さいます様、お願い致します。

【index】
・猫エイズはどんな病気か
・どうやって感染するのか
・予防は出来るの?
・猫エイズかどうか調べる方法
・治療方法は?


◆猫エイズはどんな病気か


猫エイズは、1986年米国カリフォルニア州で初めて発見されました。
また家猫だけでなく、ツシマヤマネコの猫エイズ感染の確認は1996年に1例あるのですが、2001年2月、長崎県上県町にある環境省対馬野生生物保護センターは、上県町で保護されたツシマヤマネコの雄が、猫免疫不全ウイルス(FIV=猫エイズ)に感染している可能性が高いと発表し、猫エイズは家猫だけでなく野性の猫にも感染する事を世間にしらしめました。

病気自体は「猫免疫不全ウィルス」が感染する事によって引き起こされる、免疫機能の低下を特徴とする病気です。その為、症状は実に様々でリンパ腺が腫れたり発熱したりする事から始まり、健康な猫なら自力で治癒できる病気、例えば猫風邪や口内炎などが治癒に至らず、その為に食欲が減退し体力が低下して死に至る事もあります。

猫エイズの症状には三段階があり、感染してすぐの数ヶ月は、風邪や下痢などの軽い感染症の症状を引き起こし、リンパ節が腫れる事もありますが、やがて無症状になります。この無症状になった状態を「キャリアー」と言います。つまり、発症はしていなくても「(ウィルスを)運んでいる」という意味の名前です。
一見健康な猫と変わらないのですが、体内ではウィルスが生き続けている為、少しずつではありますが病気は進行して行きます。
また、キャリアーの猫はウィルスを保持し続けている訳ですから、他の猫への感染源になるという事も忘れてはなりません。
このキャリアー期は4、5年、ともすると10年を超える場合もある為、猫エイズを発症せずに天寿を全うする猫も少なくありません。
よって、猫エイズの検査結果が陽性だとイコール猫エイズ、ではなく、発症した時点で初めて猫エイズとなります。

キャリアー期を過ぎるといわゆる猫エイズを発症するわけですが、発症してしまうと免疫力が下がるため、口内炎が出来たり慢性の下痢になったりして次第に痩せ細って死に至ります。感染してから発症するまで、キャリアー期が長くて老衰するまで発症しない子もいれば、一番短い子では5年くらいで発症してしまう子もいます。
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